まさりんです。
先月末で締め切られた、はてなブログでの「短編小説の集い」のラストに応募した作品についての振り返りを行いたいと思います。ずいぶんと遅くなってしまい申し訳ありません。
さて、私が振り返りを書く前に、主催者さまなどの感想が先に出てしまいました。主催者さまの感想で「今の心境なのでしょう」と書かれていましたが、実は順序が逆だというところから話しを進めましょう。
三月締め切りの作品について今書いていますが、二月締め切りの作品の振り返りで、「実はアイドルについて書こうと考えていた」という趣旨の文を書きました。
iPadの youtubeアプリで動画を見るという習慣が、ここのところ成立してしまいました。例によって、ハンティングの動画や釣りの動画、キャンプの動画など、自分がまったくアウトドアではないのに、他人がアウトドアの動画を見てから寝ていました。たぶん、動画の裏で流れる沢のせせらぎや吹き渡る風が木々を揺らす音、火の燃える音などが心地よいのだと思います。
ある日動画を見ていると、youtubeのAIがとあるアイドルの動画を推薦していました。それは、℃-uteの「summer wind」という曲でした。こういうことはよくあるのですが,たいていは無視します。ところがその時は見てしまいました。
℃-uteは以前から名前ぐらいは知っていました。かなり前ですが、深夜番組の「ゴッドタン」にちょくちょく出演し、エンディングテーマが ℃-uteの「会えないロンリークリスマス」という曲だったこともありました。とはいうものの、℃-uteという名前と矢島舞美というリーダーが美人だということくらいしか知りませんでした。そのエンディング曲も「つんくにしてはどストレートなラブソングだな」という印象からしかありませんでした。
ところがその「summer wind」という曲には見慣れないべっぴんさんが、サムネに映っていました。鈴木愛理というメンバーでした。はっきりいって、鈴木愛理にびっくりして見てしまったというのが正直なところです。
曲の出来が非常に良い。
アイドルとは思えないほど曲が洗煉されていて、しかも恐ろしい内容の歌詞でした。夏にデートするカップルの女の子の揺れる心情を描いているのですが、男からすると覚悟を突き付けられるような内容でした。「いいの? 掴まえないとどっかいっちゃうよ」的な。
私の知っている℃-uteはそんな恐ろしい歌詞の曲を歌いこなすような印象はありませんでした。女の子、女の子してましたから。
℃-uteを知ったのはおそらく一月ごろだと思いますが、そのころにはすでに解散が決定していました。生まれて初めて好きになったアイドルがすでに解散が決定しているという衝撃、それはとてつもないものでした。追いかけるように、ネットに転がる様々な動画を見まくりました。
その経緯にがっつり影響されてアイドルが解散するという話しを今回は書こうと思っていました。そして短編小説の集いの課題が「桜の季節」であると知って、一番最初に浮かんだのが、「大きな桜の樹の下、茣蓙を敷いて話しをしている噺家とその前にしゃがんで聞いている女の子」でした。噺家は和装で、女の子は黒髪のポニーテールでした。それと前回主催者さまに言われた「一度、あの三人の設定に戻ってみたらどうだ」というご提案に乗るというのも考えていました。実は一回あの三人をもう一度出そうというのは、私も考えていました。ただなかなかきっかけがなかったのです。よい機会なのでもう一度出しました。
桜の木、噺家、女の子、アイドルの解散、これらを結びつける話として今回の作品を書きました。
噺家のモデルを作るため、先年なくなった立川談志の「現代落語論」を読みました。おそらく修行中の逸話が書かれているだろうと思ったのです。推測通り書かれていましたが、修行の場は隅田川ではなく、多摩川でした。談志はその当時どこにすんでいたのでしょうね。
中学時代から寄席狂いだった談志ですから、話の内容はわかっているのに、師匠に稽古を付けてもらって、それ通りにやろうと思うと、どうにも難しかったそうです。だから川沿いだけでなくのべつまくなしに練習していたそうです。
ただ、道を歩くときと電車のなかでは練習は止めた方がいいそうです。電車の中でやると、恥ずかしいからではなく、必ず忘れ物をするそうです。また道を歩くときには車にひかれるから止めた方が良いようです。実際にひかれて、一メートルくらい飛び上がったそうです。
アイドルの解散については、℃-uteのイベントに行こうかと思ったのですが、できませんでした。お恥ずかしい。談志の本を読んでいて、これくらいできない自分が情けない。
しかし、他のアイドルもちょっと調べたのですが、ほぼ興味がわかないので、おそらく℃-uteでアイドルファンは終わりですね。
それに体調がずっと悪い時期だったことが影響しているのかなあ。ヘビーな曲が聴けないんですよね。いまも、深夜になると微熱が毎日出ます。なんだろ、これ。
隅田川沿いに咲く桜は実際に見に行きました。
ただご存じの通り、全く桜は咲いていませんでした。わずかにつぼみが膨らんでいて、赤くはなっていました。その状態なのに花見は強行されてしました。町内会であろうテントは本当にありました。それはそれでそのまま書いてもいいのですが、ライブに雨が降ると劇的にドラマチックになるように、桜が満開の方が話が膨らむので、イメージで桜を咲かせました。初めに書いた原稿では、光景を思い出しながら書いたので桜が全く書かれていませんでした。例によって、手書きで書いて、パソコンで編集するので、パソコンで書き直した段階で、桜を足しました。
書き終わるまで、この話が、短編小説とのさよならという意味で読めてしまうとは考えてもみませんでした。作品は作品で完成させました。ブログにアップしたときに、「あ、これって、短編小説の集いとさよならって意味になっちゃうな」と気づきました。それはそれでいいか、と思ってそのまま出しました。というより、そのまま出すよりほかなかったのです。
Note版になっても参加すると思います。ただ、これまでと同じペースかどうかはわかりません。そのときはどうぞよろしくお願いします。