池波正太郎をめざして

明日は明日の風が吹く

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嵐・二宮和也、渡辺謙出演 「硫黄島からの手紙」を見る

 

 特に日本の第二次世界大戦を扱った戦争映画を見るとき、思想的にどちらによっているのかを意識してしまう。右によって戦争を賛美しているか、反戦によって戦争をとにかく忌避する方向へ向かうかだ。

 あまりもの不勉強がたたって、この映画の存在を知ってはいたが、監督がクリントイーストウッドで、制作にスピルバーグが入った作品だとは知らなかった。日本の映画でない以上、次は米国の敵である国をどのように扱うか、が気になる。昔のアメリカの戦争映画では、ドイツを悪し様に罵ったりすることが多い。

 

 

 一通り見た印象では、戦争自体への嫌悪というか、悲劇に焦点が当っていて、どちらかが不当に悪く扱われるということがなかった。だから、もちろん悲惨な死亡シーンなどはあるのだが、思想的に偏向しているという印象がなかった。

 これらの警戒は、以前あったパールハーバーという洋画から来る。妙な恋愛エピソードを加味したこの映画にはさすがに嫌悪感があった。

 

 内容に少しふれよう。

 話は2006年に発見された、栗林忠道中将らが、家族にあてた手紙をもとに作られる。この手紙は作中、嵐・二宮和也扮する西郷によって埋められるという設定のものである。

 

 1944年、栗林忠道中将(渡辺謙)が硫黄島に赴任するところから話は始まる。

 この段階で太平洋における戦況は悪化している。ただ、この状況は硫黄島にいる兵士たちには告げられていなかった。刻一刻と物量において圧倒的な差が開いている米軍との決戦が近づいている。

 海上から上陸する米軍を浜辺の塹壕によって水際で止める作戦を想定していたが、本土などからの援助が得られないという状況に至り、島北部にある小山を即席で要塞化してそこに籠もって闘うように作戦を変更する。

 

 他の指揮官と違い、栗林は自決をさせず、最後まで士気を下げずに闘った。

 同時にこの話は一兵卒の物語でもある。西郷(二宮和也)は戦況が悪化し、同じ隊にいる人間が自決するなか、生き残るという選択をする。

 西郷と同じく生き残る選択をする清水(加瀬亮)は、米軍に投降するという選択をとるが、米軍兵士に殺されてしまう。

 大宮でパン屋を営んでいる西郷は栗林の温情で生き残る機会を与えられる。

 という内容だ。

 

 特に清水と西郷の対比がとても悲劇的だ。

 同時に西郷と清水は米軍に投降するという選択をするのだが、逃げそびれた西郷が生き残り、米軍に投降した清水が米兵によって撃ち殺される。

 つまり、よくあるアメリカ映画のように、アメリカ=正義という図式ではないということだ。

 

 専門家ではないし、コメントできるほど様々な映画を見たわけではないが、二宮の演技のうまさが、渡辺謙伊原剛志中村獅童加瀬亮など、日本の盟友たちとならぶものだったことに驚いた。

 この映画の後、ちょっとした硫黄島ブームが起こったということはよく憶えている。そのときに見ておけば良かった作品である。個人的に2006年だの2007年は人生最悪期にまだまだいた時期なので仕方がないが。

 

 

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