今日の十分日記

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原点回帰の雑記ブログ。十分で書ける内容をお届けします。十分以上書くときもあるけどね。十分以下もあるし。

中国の時代物「LOVERS」「red cliff」に見るアクションの型。

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 小説を書いてから、どうもお腹の調子が悪いまさりんです。

 ちるどさんもブログで書いておられたが、ここ数日お腹の調子が悪い。以前、三島由紀夫がやはり胃弱で悩んでいたと聞いた。名著「金閣寺」を書いた後がそのピークで、そこからボディビルを始めたのだそうだ。身体を鍛えねばならぬか。お腹の弱さには足腰を使う運動が良いとされているので、一応ジョギングやウォーキングはやっているのだが。

 

 

 さて、昨日、チャンイーモウ監督作「LOVERS」を見た。

 

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 チャンイーモウといえば、「初恋の来た道」で有名な監督である。また、北京五輪では開会式・閉会式の総指揮を執った監督である。

 主演は、金城武・アンディラウ・チャンツィイーのトリプルキャストだ。

 お話は九世紀、衰退期の唐王朝のお話だ。中国の東北部には飛刀門という武装集団が存在した。この集団は腐敗の進む王朝に対して反旗を翻している組織だ。逆に王朝にとっては、是が非でも壊滅させたい組織だ。

 奉天の役人である、リウ(アンディラウ)とジン(金城武)は、新しい遊郭「牡丹楼」に新しい頭目がいるという情報を得る。ジンは潜入し、シャオメイ(チャンツィイー)を捕縛する。ジンがわざとシャオメイを脱獄させ、一緒に逃避行をすることで飛刀門のアジトを掴もうとする。ところが、ジンはシャオメイのことが本気で好きになる。そして、リウは二重スパイでシャオメイの元恋人であった。シャオメイが選ぶのはどちらなのか。

 踊り子であるシャオメイは、牡丹楼で舞踏を披露し、「傾国の美女を手に入れようとすれば、身を滅ぼす。それでも手に入れる価値がある」というフリを自分でするのであるが、それに違和感がないくらい、舞いが美しい。外貌については好き好きなのでなにも言わないが、舞いはとても美しい。日本の女優さんは美人はいても、芸のある人間というのがそれほど多くない。チャンツィイーの場合、小さい頃から舞踏をならっていて、十六歳のときには大会で優勝しているくらいだ。本作の舞いも彼女自身が行っているのだろう。殺陣も中国では舞いのように撮るので、彼女自身が行っている。もしかすると、京劇の流れを汲んでいるのかもしれない。

 美しいといえば、さすがチャンイーモウであり、森、花畑、竹林、どれをとっても色彩感覚に訴えてくるような美しさがある。見ていてとても気持ちが良い。また、衣装がワダエミというのも美しさのポイントであろう。

 北京五輪オープニングアクトは日本では評判が良くないのであろうか。私は個人的にとても好きな内容だった。やはりそこには映像の美しさがあったからだ。三時間にも及ぶ開会式であったが、夢中で見ていた記憶がある。

 

 ここで、勘違いをしていた。「LOVERS」の主演アンディラウを勝手に、「RED CLIFF」の主演と同一だと勘違いしていたのだ。「RED CLIFF」の主演はトニーレオンだった。レッドクリフの主演の二人が、傾国の美女を奪い合って争うというのが面白いと思ったのだが。まあ金城武が同じだということでこのまま書いてしまおう。

 レッドクリフはご存じの通り、三国志赤壁の戦いをアレンジして描いた映画だ。もっとも、正史における赤壁の戦いはほとんど情報がなく、どんな戦いであったかよくわからない。おそらく、政権側である曹操が負けてしまった戦いであったからだろう。分かっているのはとにかく、曹操軍が大敗を喫してしまったということだけだ。

 我々が知っている赤壁のエピソードは、おそらく講談などで様々な人が作っていった話を羅漢中三国志演義でまとめたものだ。主に孔明の活躍が多く描かれている。そのエピソードを使いながら、ジョンウー監督が新たな着想を加えて作った。呉軍と劉備軍の共闘という側面が強くなっている。

 またジョンウーということで、男と男という側面も強い。作中特にパートⅠでは、よく周瑜孔明が目を合わせるのだが、やたらと顔の距離が近い。

 小喬という絶世の美女を一応、曹操周瑜トニーレオン)が奪い合う形になっているという伏線は「LOVERS」と同じである。金城武は天才軍師諸葛亮孔明を演じる。

 あらすじはいいだろう。

 戦記物ということで、アクションシーンが多く描かれている。中国台湾のアクションというのは、日本の時代劇くらい型がある。ワイヤーアクションもそうだが、舞踏のように展開される殺陣も同様だ。それを見ると外国の人は「ああ中国のアクションだ」と分かるのである。冒頭の長坂の戦いにおける超雲の八面六臂の戦闘や火計が成功した後の曹操軍における戦闘など舞っているように戦い方になっている。舞い方も中国の文化をきちんと継承したものだ。

 

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 日本では資金がなく、テレビなどではどんどん時代劇が姿を消している。時代劇の作り方がだんだん分からなくなっているとも聞く。その源流の一つであろう歌舞伎も見る人が徐々に減っていて、海老蔵くらいしか人を集められる役者がいないと聞く。中村勘三郎坂東三津五郎も亡くなってしまった。日本を表す文化的なコードが無くなっていくのかもしれないと思った。それほど時代劇ファンとも言えないが(池波作品も鬼平くらいしか見ない)、それはそれで寂しいことだ。