池波正太郎をめざして

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明日は明日の風が吹く

今の心境にあわせてブログ名を変更しました。どうぞよろしく。肩の力をさらに抜いてやります。

そしてボクは途方に暮れた 「聞き出す力」吉田豪

雑記 読書

 桜が咲きそうなこの時期、取材かねがね、どこへ花見へ行こうか悩んでいるまさりんです。

 

 

 昨日は実に暖かかったですが、今日はちょっと肌寒いですね。コートの裏地を外すと、春用の薄手のコートになるんですが、薄手のコートをクリーニングに出すか迷いますね。

 「第六回 短編小説の集い」のお題が発表されました。「桜の季節」。「桜」よりも広く捉えていいようにしたようです。真っ向勝負で行こうと思ってます。取材先に行かないと分かりませんが。お題を聞くとぱっと頭の中に画が浮かぶのですが、夫れ通りの場所かどうか、ね。

 今回は本の紹介です。

 

 一冊の本を前に、私は途方に暮れてしまっている。

 吉田豪の「聞き出す力」だ。阿川佐和子の「聞く力」の尻馬に乗ろうという考えで設定されたタイトルらしい。これをどう紹介しようかと悩みあぐねている。読了後、数日が経過しているのである。一度は諦めようかとも思った。しかし、ブログで皆様に紹介しようと思って買ったのだ。なんとかしたい。

 ブログではやはり、皆様にある程度有益な情報を提供したいと思うのが人情だ。読んで、「ほう、そうなのか。ありがとうまさりん。ためになったよ」と言って欲しい。だが、この本、有益な情報を含むか、微妙なのだ。かといって、つまらない本なのかといえば、非常に面白いのだ。だから、紹介をあきらめきれない。

 目次を少々引用する。

 

第一章 「聞き出す力」の基本テクニック

     ――相手を乗せるための技術

聞き出す力 其の一 いい答えが返ってきたら、いいリアクションで返すこと

聞き出す力 其の二 普通なら聞きにくい話にどれだけ踏み込むか

聞き出す力 其の三 空気が悪くなると、引かないところは絶対引くな

聞き出す力 其の四 NGネタを相手のほうから話させる聞き出し方

聞き出す力 其の五 心を開かれすぎず適度に突き放す、この距離感が大切

 

 

 一見すると、とても役に立つ情報が並んでいるように錯覚する。しかし、それにちなんだエピソードが並ぶだけで、汎用性があない。読む人にとってためになるところが違うのだろう。個人的には「聞き出す力其の十二 あえてリアクションしないことで、面白い話を引き出すことも」がためいなった。さとう珠緒がインタビューの相手だった。魔性の女でキャバ嬢のように誰にでも媚びを売る。続いて彼女にかかるAV出演疑惑についての話になる。

 

 「もともと(プロインタビュア-の)吉田豪さんが対談で〈珠緒ちゃんって『アサ芸』で一年に一回こういうの出るけど、どうなんだ〉と言われたのがきっかけ。吉田さんは有名だから、ネットにこの話が載って(テレビで)聞かれる、みたいな流れ。つまり、全て吉田豪さんのせいなんですよ。吉田さんがあんなふうに言わなかったら・・・。実際にAVのオファーはあったけど、どうでもいい話だと思って話しちゃったらこんなことに」

 「すべては吉田豪のせいだということにしておいてください(笑い)」

 

 

 

 といつのまにか、吉田豪のせいになってしまう。

 

 そんなボヤキをボクがラジオの近況部分で話していたら、その日のゲストだった品川庄司品川祐がこんなことを言い始めたのだ。

 「さとう珠緒さんも言ってましたけど、俺やっぱり、あれ吉田豪が悪いと思う。『そんなこと聞いてない』って吉田豪は言うけど、俺もこの人のインタビューを受けてみて、以外とラジオだとこうやってリアクションいいでしょ? でも、インタビューのとき、そんなにリアクションよくなくて淡々としているんですよ。だから、『あれ? このままじゃつまんなくなっちゃうのかな?』と思って。何か言わなきゃ!って思って、聞かれてなくても自分からしゃべらせるんですよ。だから、さとう珠緒ちゃんと二人で訴えようかと・・・・・・」

 

 

 

と“おしゃクソ”が言い出す。ここから教訓を引き出すのである。

 

なるほど。

 確かにあえてインタビューではそんなにリアクションを取らず、「もっといい話あるでしょ?」と無言で追い込んで行く手口はよく使うので、(そして、本当に面白い話が出たときに爆笑する)、確かにボクが悪かった・・・・・・わけじゃ絶対無いと思うよ!

 

 

 ということだ。これが上手く使えれば、相手から有用な情報を引き出せる。だがどのタイミングで使ったらいいのか分からない。もっとも必殺技の使うコツをしゃべるバカもいないか。

 全体的にこんな感じだが、面白いのには違いない。そんなエピソードも紹介しよう。

 「聞き出す力其の二十二 多感な中高生アイドルの取材には細心の注意を払うべし!?」から。

 

 『青山☆聖ハチャメチャハイスクール』というアイドルグループを三回にわたり取材した時のこと。一回目はファンが「聞いていて胃が痛くなるレベル」とブログに書き込んでしまうくらい酷い内容。二回目はまあまあの出来。インタビュー中に「ネタ帳を作るといい」とアドバイスする。

 三回目にネタ帳を吉田豪に見せる。

 

 「『そろそろアイプチ卒業したい』って、これはちょっと面白いんじゃないですか?」と言ったところ、あるメンバーが「それ、読んじゃダメなヤツなのに! ひどい!」とシャウト! 「読んじゃダメなヤツはネタ帳に書いちゃ駄目ですよ!」と注意しつつ、そのまま番組を進行していたら、何か物音がするのでふと見ると、その子が洟をすすりながら遠くを見つめていることに気付いたのだ。

 (中略)

 「いや、アイプチぐらいアイドルでやってる子は多いし、たぶんこのグループにも他にいますよ!」と言ったのに、他のメンバーが完全スルーして見殺しにしたのも興味深い。

 収録後、みんなで写真を撮るときも「吉田さんの隣は絶対に嫌!」とその子に言われ、帰り際に挨拶したときも一人だけ無視されたんだけど、果たしてボクはそこまで悪いことをしたんだろうか? ネタ帳を作った方が良いとアドバイス→ネタ帳を読んでくださいと言われる→読む→それは読んじゃいけないやつなのに!と泣かれると言うトラップは逃げようがないし、恐ろしすぎるよ!

 

 

 ゆかいな娘さんである。

 こんな目に遭ってはたまらない。

 

 ためになるかは読む人によって変わるのかもしれないが、確実に面白く、読後感は満足のいくものだった。

 

 なんとか書き切った。

 (文中引用:「聞き出す力」吉田豪 日本文芸社

 

聞き出す力

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