池波正太郎をめざして

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明日は明日の風が吹く

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ニュースをより深く知ろう。佐藤優「世界史の極意」

雑記 歴史 読書

 水木しげるの「泉鏡花伝」を購入したまさりんです。

 感想は後日。小さい頃、漫画嫌いな母親が、なぜか積極購入させてくれたのが水木しげるの「ゲゲゲの鬼太郎」でした。理由はわかりません。さて今回は鬼太郎とは何も関係が無い本の紹介です。

 

 

 今日は佐藤優氏の「世界史の極意」という本を紹介する。この本、結構売れているらしい。

 佐藤氏は踏み絵みたいな人だ。経歴的な意味でなく、非常に優秀な人物であるというのは大量に出版されている本を一冊読めば分かる。知識量、情報量が尋常ではないのだ。それにはきちんと理由があると私は思うのだが、それに反して怪しさがある。氏の写真が多く著作の表紙に使われるのだが、ふくよかな顔貌で視線だけが鋭いというパターンが多い。その表情はなぜか、まじめや賢さよりも、怪しさを強調する。

 しかも彼曰く、検察の国策捜査の結果、逮捕起訴され、外務省を退職した。これがエキセントリックさに拍車をかける。こういう人物の言うことを、「怪しい、信用できない」ととるのか、「面白い」ととるのか、はっきり分かれるのかもしれない。

 

 佐藤氏はこの著作でアナロジー的に世界史を把握すべし、と説く。「アナロジー」とは、「全く独立な事物に類似性がある」ということだ。「歴史は繰り返す」と良く言われるが、あれである。ただ、アナロジー的に分析するには観点が必要だ。その観点を基礎的な知識を補いながら紹介しているのが本書である。

 その観点によれば、現代は新帝国主義の時代だということだ。各国家は、限定的に戦争をすることを覚えたという。近代の戦争は国家対国家の総力戦、殲滅戦を行うものであるが、そうならないように戦う術を覚えた。事故の領土を伸張しようと国家が目論めば、その協会で衝突が起こる。旧来の帝国主義なら、そこから全面戦争になるのである。が、今はそうならない。昔に比べ、戦争で人が大量に死ぬというストレスに国民が耐えられないからだ。日本の第二次世界大戦における死者数は数百万人を超える。だが、たとえばイラク戦争では数千人の戦死者で国内は大騒ぎになっていた。旧帝国主義との一番の差はここにある。それに植民地を持ちたがらないというのも、旧帝国主義との相違点だ。

 ではどのようにしてこの分析に至ったのかは、本書を読んでもらうとして、佐藤氏の観点で興味深い点をいくつか紹介する。一つ目は共産主義という視点があるということだ。佐藤氏は現役の外交官であった時分、実際にソ連との関わりが強かった。同時に鈴木宗男との関わりが強かったために、起訴に至るのであるが、共産主義的な考察を(今どき?)行って分析するところが面白い。たとえば、戦後先進国が高福祉的な政策をとっていくのであるが、これには共産主義の存在を強く意識しているからだ、と氏は説く。実際に、ロシアなど資本主義国家から革命で社会主義国家が誕生したのであるし、社会主義共産主義を意識せずに国家運営などできなかった。

 次に宗教的な素地が根本にある分析をするところも面白い。佐藤氏は同志社大学の浸透学部の出身だ。だから、キリスト教を始め宗教に関する造詣が深い。この知識をもとに様々な分析をする。

 現代を分析する観点として、他にも「民族」の基礎的な知識も補充してくれる。それも東欧の歴史を紐解きながら、現在のウクライナ情勢やスコットランド独立を分析する。民族紛争も宗教の紛争も、水中で泡が湧いてくるように、いきなり発生するものではない。中世から連綿と続く、理由があるのだ。

 ニュースはそこそこ見るが、事実を知るだけであって、あまり分析ができないという人は、一度本書を読むことをおすすめする。佐藤氏は沖縄との関わりも強い。それについては、いつか紹介しよう。

 

世界史の極意 (NHK出版新書)

世界史の極意 (NHK出版新書)

 

 

 

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