今日の十分日記

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原点回帰の雑記ブログ。十分で書ける内容をお届けします。十分以上書くときもあるけどね。十分以下もあるし。

これはこれで恋に落ちるということだろう。いろいろな形があるもんだよ。「かくれさと苦界行」

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 まさりんです。某駅・某有名喫茶店チェーンにて、休んでいたのですが、すごいのがまったく携帯の電波が届きませんでした。やっぱり駄目かなぁ“お父さんケータイ”。もう転職しちゃったんですけど、友人が“お父さんケータイ”とこの社員でした。その縁で長年“お父さんケータイ”を使ってます。代えどきかな。

 さて、今日は読書感想文です。

 

 

 今日は「かくれさと苦界行」(作:隆慶一郎)という本を紹介しよう。これは「吉原御免状」という以前紹介した作品の続篇です。

 

 

かくれさと苦界行 (新潮文庫)

かくれさと苦界行 (新潮文庫)

 

 

 ねえさん、それはとんでもなく色っぽい本だった。

 “吉原”という言葉が入っていた辞典で気づくべきだったんだ。

 田舎から出て、早二〇年が経とうとしているけど、これが江戸だよね。ねえさんも知っていると思うけど、江戸ってのはしょっちゅう建設工事ばっかしやってた。いや江戸だけじゃない。日本が建設が中心産業になっちまったというのは、いわば宿命なのかもしれないね。

 この前の震災のときもそうだったけれど、地震だ、津波だ、台風だ、って都市や田舎の町なんかを根こそぎぶちこわす災害が、もうそりゃ定期的に発生する。そのたんびに建設ラッシュだ。

 しかも江戸に絞れば、大火事まで定期的起こる。木造の家屋が中心だ。しかたないよね。もともと野っ原だった江戸の町。建設には男手が要るってんで、江戸の町には男が溢れてた。若ぇ男が集まりゃ、そりゃ遊ぶところが必要だよね。

 ちなみに、今や男まで、“草食系”なんつって、細いなまっちろいやつがモテるけど、それは江戸の町の習俗と関係がないわけでもない。つまりは肉体労働者が多い町だから、町人の息子なんかであまり働いていないような生っ白いヤツが珍しいからもてる。江戸の町の娘もみな浅黒い。だから、白い女がモテる。そこから来てるんだろうね。

 

 はてさて、そんな遊ぶ場所はともすれば自由にやらせれば、無法地帯になりかねない。だから、幕府は管理をしたい。その許可を出したのが、庄司甚右衛門だ。許可状が「吉原御免状」これには重大な秘密が隠されている。それを奪取したい前裏柳生の元締め義仙と酒井忠清、そして吉原の惣名主となった松永誠一郎の戦い。それに柳生の守り神である、『お館さま』こと荒木又右衛門が引っかき回す。

 この『お館さま』、それを見た女が生唾を飲むほどデカい。また非常に腕っ節が強い。柳生の奥義を知りつつも、剣で闘うことの弱さを知り、素手で闘うようになった。老中酒井忠清の邸宅に単身忍び込み、恫喝する。先手頭という者たちを三〇人ほど殴り殺す。先手頭とは要するに徳川軍の先鋒隊である。つまり、腕っこきだ。この又右衛門のキャラクターこそが今回の話の白眉である。

 それに加えて男女の関わりが丁寧に描かれていく。ねえさん、血縁のある人間にいうことじゃないけど、読んでいて悶々としてしまったよ。八〇越えて、大阪で女と交わり、その女を蕩けさせ、夢中にさせる。そんな話が剣劇の間にたくさん出てくる。いわゆる、通常の恋愛ではない恋愛。とても動物的で、官能的で興味深い。

 こういう関わりを異性とすれば、自分がその異性と一つ居を構えるのはそれほど苦痛じゃないし、自然な流れだと思えるんじゃないかな。ねえさん、あなた頭で考えすぎなんですよ。理屈から考えても、こういうことは動かないよ。

 ということで、「売春婦の話」とか、「遊郭は男のもの」とかいう理屈を取っ払って、読んでみると、自然な男女の関わり方として読めるような気もする。そんな本です。

 

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