池波正太郎をめざして

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明日は明日の風が吹く

今の心境にあわせてブログ名を変更しました。どうぞよろしく。肩の力をさらに抜いてやります。

デヴィッド・ボウイの死を悼む。胸がずっと重い。

雑記 音楽

 

 書かないとどうしても気持ちが消化できないので、今回は書かせてもらいます。まさりんです。

          

             Blackstar

 その一報が僕の耳に飛び込んできたとき、近所の川沿いを走っていた。おなかが痛くなってしまって、近くのコンビニでトイレを借りて、再度走り始めた直後だった。前日の十日に購入したDAVID BOWIEの新譜「black star」を聞きながら走ろうと思ったのだが、どうにもジョギングには合わなくて、トイレに入るまではDAVID BOWIEのほかのCDを聞きながら走っていた。トイレから出た後は、FMを聞こうと、ウォークマンを切り替えた。 

 「GroovelineZ」という番組を聞いていると、「John, I’m only dancing」という曲の、しかもファンクバージョンがかかっていた。走りながら、「へえ珍しいな。でもさすがFMだな」と思った。この曲のファンクバージョンはファンの間では有名なのだが、「Young Americans」のボーナストラックなので、ファンじゃなきゃ知らないだろう。

 曲終わりでピストン西沢が、「今DAVID BOWIEの曲を聴いていただいてますが、DAVID BOWIEさんが残念ながら亡くなったそうです。ガンだったそうです。六九歳でした」というアナウンスが唐突に耳に入ってきた。

 川沿いの道のアスファルトから、頭のてっぺんに向けて冷気が突き抜け、それを追うように鳥肌が全身を覆っていった。急に不自然なほど足に力が入り、突っ張って止まってしまった。小刻みに震えながら、空を見ると、星なんか見えるわけないじゃない。まさに「black star」だった。一瞬座り込みそうになった。前から小柄な女性のジョガーがやってきたのが視線に入り、なんとか状態を立て直した。とにかく、家に帰りたくなった。結果はいつもよりハイペースだった。

 「GloovelineZ」という番組はとても良識のある大人が聞く番組ではない。なんとなく燻っている人間に向けた番組な気がする。だが、これがこの日の僕にはとても優しく感じた。

 ただ、BOWIEはこれまで引退宣言をして、十数年後にひっくり返すということをして、数年前に復活したという経緯があるので、ちょっと信じたくない気分もあった。

 

 家に帰って、かみさんに「今日はもう愚痴は聞いてあげられないよ。DAVID BOWIEが死んじゃったんだ」と話した。かみさんは「本当に?」と大騒ぎをした。亡くなったことが発表されて、一時間後くらいで夕方のニュースをやっていた。「なんか見れば」とかみさんが勧めてくれたが、どうせなにもわかっていない人が作る映像だろう、と、見る気分になれなかった。発表された直後で、速報が入るだけだろうし。

 

 そこからは半ば放心状態で寝るまで過ごした。

 だれかと共有したくなって、友人に久しぶりにメールを出す。人選を間違えて、すごくライトな返事が戻ってきた。まあ、仕方ないのかな。

 報道ステーションでは、ちょっとした特集があった。

 四時間くらいしか眠れなかった。

 起きると、何もしていないのに涙が出てきた。

 

 昨日「black star」は結局聞けなかった。起きて、聞きそびれた「black star」を聞いた。不謹慎な表現だが、死にそうな人間が作るアルバムでは決してなかった。もちろん、盟友トニー・ヴィスコンティが変わって仕上げたのかもしれないが。ドラムの複雑さとベースの作るグルーブがとても高度であった。ダニー・マッキャスリン(サックス、フルート、ウッドウィンド)ジェイソン・リンドナー(ピアノなど)ティム・ルフェーヴル(ベース)マーク・ジュリアナ(ドラムス)ベン・モンダー(ギター)ジェームス・マーフィー(パーカッション)といった、(僕はあまり詳しくないが)ジャズ畑のミュージシャン中心の編成になっている。あまり詳しくない門外漢でも、この演奏がすばらしいということくらいはすぐに理解できる。聞いていて、身体にしみてくる深さがあり、展開に四季を感じる曲まであった。

 朝五時過ぎになって、さらに情報がないかとテレビをつける。

 もちろん、各局DAVIDBOWIEの話題をやっているのだが、某目覚ましうんたらで、「今朝のなんといっても大きな話題は・・・・・・」といって「だいごときたがわけいこのけっこん」(←もう変換しない)をあげていて、かなりカチンときた。本当に、フジテレビは潰すべきだと思う。

 それにだいごはミュージシャンであるならば、結婚発表に続いてリアクションすべきだったよ、せめてな。おまえ、デビューしたときに氷室京介に曲作ってもらったり、「だいごスターダスト」って名乗ってたじゃない。本当に芸能人ってやだよ。

 

 テレビ朝日では、BOWIEの話題の後に、「二五歳無職、DAVID BOWIEが死んだのがショックで、自殺しようとカッターナイフを持って暴れる」というニュースをやっていた。どうせ自殺するなら人前でやろうと思って、運送会社に乱入して、泣き叫びながら死のうとしたら、捕まったそうだ。気持ちはすごくわかる。寝床で見ながら泣いてしまった。かみさんにばれないように、マクラに顔を当てて泣いた。

 

 それから半日、何も手が付かない。

 初めてスマホゲームをやろうと思った。ドラクエをやろうと思ったのだが、目が痛くなってアプリを削除してしまった。どうしようもなくなって、この文章を書いている。

 たぶん、これからも音楽は聴くだろう。しかし、自分にとって、わくわくする絶対に買わなければならないアルバムは、今後発売することはなくなってしまった。たまらなく寂しい。

 ーー合掌。