池波正太郎をめざして

明日は明日の風が吹く

今の心境にあわせてブログ名を変更しました。どうぞよろしく。肩の力をさらに抜いてやります。

桜の季節のスケッチ。

 

 まさりんです。

 「文章スケッチ」を書いてみました。

 ですが、募集をしているのかわからなかったので、リンクなどを張らずに出します。

 

「桜の季節」

 川に沿って植えられた桜並木。ライトアップもされていないし、白い街灯もない。

 空には上弦の月が浮かぶ。月の光のおかげで桜の木の幹や枝は漆黒、たわわについた桜花(おうか)の鈴なりは青白い。夕方になり冷たくなった春風にかすかに枝はたわむ。たわむごとに鈴なりから、花弁が散る。川面に突き出した鈴なりから、そして天空に向かって伸びる鈴なりから、花弁がひとひらひとひらこぼれ落ちる。

 桜並木の近く、川にかかった橋は家路を急ぐ人々が通ってゆく。暗いから人々はあまり関心がない。

 十メートル強の川幅の両岸は数メートルの高さのコンクリートの護岸になっている。橋を渡ると護岸に沿って道が続く。沿道は一人分の幅の歩道と車一台分の車道になっている。沿道は下り坂になっている。途中に階段がある。車道と歩道の中間には石で囲まれた植え込みがある。植え込みには桜が植えられている。歩道の護岸側にはツツジが植えられている。

 階段を降りると、幅二メートル、長さ五メートル程度の細長いスペースがある。そのスペースは川面すれすれの高さだ。大潮の日には水没する。スペースには石でできた椅子がいくつか置いてある。一人がけの椅子、二人がけ、三人がけと石の椅子が並んでいる。

 川の境界すれすれのところにはステンレス製の柵が設けられている。転落防止用だ。柵の前には雑草が生えている。

 スペースから川を見れば、橋の向こう、対岸の桜が見える。桜並木の向こうには五階建てくらいの建物が見える。対岸の桜はその枝先を川の方へ落としている。この季節にはここから満開の桜を眺めつつ座る人が多くいる。今も夜桜を眺めつつ、高校生のカップルが座っている。

 女の子は両足をプラプラさせ、男の横でそわそわしていた。女の子の視線は揺れる自分のつま先にある。男は満開の青白い桜とその上に光る上弦の月を見つめている。桜の鈴なりは微風に揺れ、川面には花筏が流れてゆく。二人はいつまでも話さない。男は部活帰りらしく、坊主頭で女の子の方でない脇に、白く大きくて、四角いエナメルのスポーツバッグを置いている。女の子は部活をやっているかわからない。男に比べるとずいぶん小柄で、それほど長くない髪を、頭の後ろで左右二つにしばっている。男は今どきめずらしい学ランを着ている。女の子は濃紺のブレザーを着ている。

 知ってか知らずか、二人の頭上の狭い道には自転車に乗る人、歩行者、ジョギングをする人が通りゆく。道行く人々は、二人に目もくれない。

 二人は話さない。

ーー了ーー(1023文字)Word調べ。

 

 以上です。「桜」を描くのはできるのですが、「季節」の部分をどうするかを工夫しました。実際にある「とある場所」ですが、そこにはよくカップルがいるのです。見たカップルを必死に覚えました。

 

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