池波正太郎をめざして

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明日は明日の風が吹く

今の心境にあわせてブログ名を変更しました。どうぞよろしく。肩の力をさらに抜いてやります。

終戦の日に思う。憲法改正より前にやるべきこと。

 

今週のお題「映画の夏」


 まさりんです。

ことしのなつのえいが

 今年の夏は「シンゴジラ」が盛り上がっている。話を聞いているだけで、見に行っていないので何とも言えないが、聞いている限りは九〇年代から〇〇年代に流行った物語の様式であるような気がする。でも、ゴジラ自体を見たら印象が変わるのだろう。お馬鹿な感想を書いているブログを見たが、現実見たらそう思うのだろう、と思う。

www.kansou-blog.jp

 ただ、夏といえばやはり第二次世界大戦終戦の時期であり、それに関連する映画が多くテレビでも放映される。予約した憶えがないのだが、そういう映画がどんどん録画されている。もうHDDプレイヤーが壊れている気がするのだが、撮れているからよしとしよう。

あらすじ


 その一本である、イーストウッド監督の「父親たちの星条旗」を見た。
 この映画は、「硫黄島からの手紙」と対をなす映画だ。

 

 

masarin-m.hatenablog.com

物語はドクの息子が語るかたちで進行する。
 ある日、老いたドクは戦争中の記憶にうなされ目を覚ます。その記憶とはセレモニーの記憶である。
 硫黄島の激戦のなか、ドクを含めた七人は硫黄島の山の頂上に星条旗を立てた。長く続いた戦局にアメリカ国内の人々は厭戦気分になっていた。戦時国債もなかなかあつまらない。そんななか、硫黄島に星条旗がたったというニュースと写真は、厭戦気分を吹き飛ばすものだった。当然七人のうちの三人は内地に召喚され、プロパガンダに利用されることになる。ただ、写真には秘密があり、星条旗に関わった人々は数奇な運命を辿る。

ハードボイルド(みじめだけどカッコいい)

 この映画の存在自体がハードボイルドの要素を持っている。アメリカの退役軍人にとって、第二次大戦はアンタッチャブルな存在だ。この点がベトナムと違うところだ。だから、少しでも否定的な意見が入ろうものなら、バッシングは必至だ。邪推かもしれないが、だからかものすごい有名な役者が出ていない。「硫黄島からの手紙」に比べてそう思う。日本側は日本のトップの役者が入っている。もちろん、アメリカが第二次世界大戦のことを否定的に分析する必要は無い。だからかもしれない。
 それでもイーストウッドはやるべきだと思ったのだろう。まさにダーティ・ハリー。ハードボイルドだ。法を犯しても悪を退治する。ハリーのそのスタンスなのだろう。

 

masarin-m.hatenablog.com


 旗の秘密は置いておいて。ちょっと突っ込んで書くと、七人のうち、四人は死ぬ。しかも旗が立ったあと、つまり占領後だ。イラク戦争やアフガン戦争の泥沼を思い出す。
 今ふと思ったのだが、もしも日本が戦争になったら、大手メディアの記者は従軍するのだろうか。案外、戦争法だとかいって、反対する大手メディアの理由はそんなところかもしれない。
 映画の話に戻す。海軍である彼らは軍艦から上陸作戦を敢行する。戦場に近づくところで一気に引き込まれる。理屈抜きに緊迫感が一気に高まるからだ。「俺死ぬかもしれない」という気持ちが一気に高まる。
 硫黄島上陸作戦の訓練シーンまでは、兵士たちは顔やキャラクターがよくわかった。ところが、戦闘が始まると、一気に個性が死ぬ。白黒に近い色使いや泥まみれの顔のせいもある。主人公ドクも、「衛生兵(怪我などの応急処置をする)」と呼ばれるから分かるものの、でなければ誰なのかわからない。訓練中も同じ服を着ているのだが。そんな、没個性の状態で兵たちは次々に死ぬ。死んだあとで、死んだ兵士の名前を他の兵士が読んだあと、「ああ、あのときのあいつが死んだんだ」と見ている人間は気づくのである。

  もうこの時期は大戦末期だ。それに、硫黄島は日本本土からも近い。勝ち戦で死ぬことは馬鹿げているのだが、硫黄島の日本軍、栗原大将(誤表記です。正しくは「栗林中将」です。ふのいさんありがとうございます)率いる守備隊の抵抗がすさまじかった。
 この、次次と死んでいくさまにも、不謹慎ながら、ハードボイルドを感じてしまった。

反戦教育が必要になった

 相模原での殺傷事件を経て、反戦教育だけはきちんとしておかなければならない時期が来たのかなと、痛切に感じた。この事件は以前の事件の模倣犯であったか。私個人は模倣犯であったのだと思う。過去のどの事件の模倣かといえば、池田小事件、秋葉原の事件などの近年の大量殺害事件だ。やまもといちろうは彼が思想を持っていたと考えているらしい。が、おそらく明確な思想は有しておらず、ただ自分が様々な場所・人に弾かれた反動、不満で事件を起こしたのだと思う。そうでなければ、彼が過去にとってきた選択がちぐはぐすぎるのだ。

  そして、自分の人生が絶不調のときにどんなに正しくとも極端な主張をすれば、いじけているとしか他人はとってくれない。ネットでの極端な思想の披露が成立するのは全員がほぼ匿名だからだ。もちろん、人生が絶好調だといって、やっていいという話では無い。だが、もし犯人がその主張を通そうと思って凶行に及んだのなら、人生が失敗続きだという一点で、試みは失敗だ。

 きちんと言っておくが、犯人の持っている思想が良いとは私は思っていない。思っていないし、明確な思想を持っていれば凶行にに及んでよいわけではない。


 三つの事件に共通するのは、犯人の状況の悪さだ。このような事件の犯人に対する一般的な認識は「いじけてる」だろう。
 この犯人の場合、もっと以前からそういう思想を持っていたかはわからない。持っていたら、特別養護学校の教員など目指さない気もする。ただ、ネットに転がっている思想云々を切り貼りしてこさえた思想を標榜して、強行に及んだのだろうと予想される。

 

極端な思想を作り上げている人々が本当にその思想を信じているか。

 このような思想を作り上げている人間が全員本気でその思想を信じていたり、現実の人間関係のなかでも同じ振舞いをしているとは思わない方がいい。もともと冗談で言っている人間も多いと思う。目立ってナンボなのが、ネットの世界だ。
 記事で「障害者に傷つけられた女性が、どうしても犯人を賛美してしまう」というものがあったが、犯人やこういう女性がでてきて、冗談であおっている人間は、狂喜乱舞しているだろう。
 今のネットは妙なアマチュアイズムでは成立しない場所になった。昔(九〇年代の後半まで)のネットなら、ネットで行われることは全て井戸端会議、居酒屋の会話と言って済んだ。だから、極端な意見が出ても害がなかった。見ている人が少ないのだから。

 だから、逆に現在のラインが当たったのである。井戸端会議、居酒屋の会議、いじめ、陰湿なことが行われるのは、そこが閉じられた場所だからだ。逆に、ツイッターまでも閉じられた空間だと思わせるほど、ラインの感覚が若者は好きなのだろう。知っている人や知らない人でも、閉じられた空間で「アイツが嫌いだ」とか「シカトしよう」とか、「お前がゲイだということを隠しきれない」とか言って楽しむのである。何が楽しいのか私はわからない。

問題なのは

 みんなで言っていた冗談の極端な思想を体現しようという馬鹿が現れたことだ。それが今回の事件が厄介なところだ。「ここで引くな」とばかりに、英雄視しているのは逃げ遅れた間抜けだけな気がする。勘が良い人間は、過去「そうだよな」なんて一緒に煽っていたがもう逃げている気がするのである。

  なんとなく書いていて、過去の山一証券の破綻のときを思い出してしまった。

 

 「日本は敗戦国である。ただ、国防を主とした軍隊くらいは保有したい」

 というのに私は異存は無い。異存のある方もいるだろうが、そこは目をつむって読んでほしい。そのために改憲もすれば良い。そう思うのだが、最近は前半の「日本は敗戦国である」という部分が弱まっている傾向にある。もちろんそれは「反省が足りない」ということではない。「敗戦国であり、戦争を主体的にはしにくい国であるという自覚」が足りないのである。

 

 私のなかでは「イギリスのEU離脱」と「相模原殺傷」は本当にショッキングだった。個人的には「本当にそれやっちゃったの?」というのが本音だ。冗談で優性論に基づいての差別的な議論が存在しているのは知っていたが、それを実行する人間がまさか出るとは。

 こういうのを防ぐには、(本当は反対だけれども)感情的なくさびをもっと打つべきだと思う。なんとなくだが、改憲も気づかないうちにヌルヌルっと達成されていく感じがしてしまうのだ。それが非常に厭だ。

日本は普通の国になれない。

  ここで言う、普通の国とは、アメリカや欧米のように、対外的に戦争できる国だ。そうはなれない。そういうことを、こういう映画を通じて、感情のくさびとして打っておいたほうがよいのだろうと、悲惨な戦闘シーンを見て感じた。

 

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基本情報

監督:クリント・イーストウッド

脚本:ジェームズ・ブラッドリー

          ロン・パワーズ

製作:クリント・イーストウッド 

          スティーブン・スピルバーグ

          ロバート・ロレンツ

配役

ジョン・ドク・ブラッドリー:ライアン・フィリップ

レイニー・ギャグノン:ジェシー・ブラッドフォード

アイラ・ヘイズ:アダム・ビーチ

キース・ビーチ:ジョン・ベンジャミン・ヒッキー

ハンク・ハンセン:ポール・ウォーカー

 

 

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