昨日のNHKスペシャル「本土空有集 全記録」にはちょっと驚いた。
第二次世界大戦、というより、太平洋戦争といったほうがいいのか。
この戦争の最終局面、日本は大規模に渡る空襲に見舞われた。
このときの空襲について、詳細に分析するのが番組の趣旨だ。
サイパンをアメリカが奪取した後、そこを拠点に日本本土に空襲をするようになったわけだが、その空襲が徐々に拡大され、無差別化されたか、というのを検証していた。
当初、軍需関連の施設を狙っていたのだが、その精度が低かった。
そこで(というのもおかしいが)ルメイ少将という軍人が指揮をとるようになり、都市ごと殲滅することになっていくのである。その模様をガンカメラなどで映像に収めていたらしい。その映像だをNHKが全面的に分析していった。
驚いたのは、冒頭そのガンカメラでうつされた映像だ。
爆撃機が低空から攻撃しているのだが、完全に民家を爆撃しているのだ。軍樹施設ではなく。
もちろん、ちょっと前のイラク戦争だって、ピンポイントでミサイルで狙ったといったって、周囲への影響は甚大らしいから、あの当時だって、民間の住宅に被害があったのはわかる。しかし、絨毯爆撃で燃えたのではなく、露骨に狙われたのだと知って驚いた。
というより、あらためて気づいたといったほうがいい。
そんなシーンは映画でも、ドキュメンタリーでも、人の話でも聞いたことがあった。
ツイッターでもこのスペシャルは話題になっていた。
この無差別爆撃は日本が行った重慶爆撃が遠因だった、という描き方をしていて、それが物議を醸していた。要するに、日本がやった行為がアメリカの世論に影響を与えた、という話であるが、それを否定したいらしい。だが、パッと見たところ「そんな世論は存在しなかった」というツイートはなかった。
そう重慶爆撃はあった。それが国民党が悪かったかどうかは関係ない。そんな世論が形成されたかどうかが問題だ。世論が形成されれば、「ジャップだってやったのだから、自分たちだって」と、ハードルが下がる。
私はそんな単純な話じゃないと思う。
もちろん、重慶爆撃の話も伝わっていただろうし、世論はもあったかもしれない。
それだけではなく、日本人を人間ではないという扱いをしていた。しかし、それはお互い様だ。
NHKBSでは沖縄返還交渉に関するドラマがやっていた。
井浦新演じる外交官千葉が、粘り強く交渉して、沖縄返還交渉を進めていくというものだ。
ちょっと井浦新の演技が臭かったが、面白かった。
戦時中、千葉は通信兵として戦況を聞くしかなかったという経験を持つ。そして両親はポツダム宣言が結ばれたのを知って、ある意味殉死したという経験を持つ。
そんな千葉は、正面突破で沖縄返還を目指す。
最後は上司とぶつかって、飛ばされる。
その最後の上司が、鬼平犯科帳の忠吾をやっていた尾美としのりで、思わず「うさ忠」とつぶやいてしまった。
それにしても、こういうドキュメンタリーでも、ドラマでも、ちょっと現政権とそりが合わないものが出てきたような気がするが、それは錯覚かもしれない。
今日は池上彰が特攻についての番組をやっていた。