今日の十分日記

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原点回帰の雑記ブログ。十分で書ける内容をお届けします。十分以上書くときもあるけどね。十分以下もあるし。

この世界の片隅で--十分日記98

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音声入力で書いています。

短編小説の集いに提出する作品を書いているので、をなるべく労力を惜しむためには、音声入力が丁度いいのです。

さて昨日例によって、ワイルド系の歯医者に行って歯を削ったので、疼痛が続いています。もう何度も治療をしている奥歯だったので、かなり削った範囲が広くなり、深くもあるので、痛いのです。呼吸をするだけでヒリヒリします。

本題ですが、「この世界の片隅で」という映画を見ました。

あらすじを簡単に言えば、というより昨年かなり話題になった映画なので、説明は不要かもしれません。というより、一度しか見ていないので間違っていたら申し訳ない。

 

第二次世界大戦の最中で海軍の造船所や軍需工場がひしめいていた、呉が舞台になった話です。というと、かなり殺伐とした話を想像するかもしれませんが、そうでもないというのが不思議です。

もちろん呉軍港大空襲などが描かれて目の前で日本軍の海軍が無力化されていく様子が描かれるのですが、主人公がそれに巻き込まれます。それくらい(というには大きな代償ですが)か大きな被害で、隣の広島市に比べれば、ね。

主人公はすずといって、絵を描くのが好きな女の子です。もともと、それほど深いことを考えるのが得意な人物ではありません。すずはそうしてのどかに暮らしているのですが、お年頃になり、流されるように呉に住む男性のところで嫁入りします。すずの方から見れば。

この二人、実は幼い頃に会ったことがあります。すずは幼い頃人さらいにさらわれそうになるのですが、一緒にいた周作と機転をきかせて何を逃れた経験があります。

 

そこからはどちらかと言うと戦争を描く、つまり戦場を描くというより、内地に残った人々の日常を描くというスタンスで作品は展開していきます。

周作の昔の彼女との顛末、どこか明後日の方を見てぼーっとしているすずに、小言を言いまくってしまう姑、物資が不足するのかどのようにして日常生活を切り盛りしていくか。そのような話が続きます。

一応戦争映画なのでリップサービスとして軍艦などが登場しているのでしょう。

 

見ていて思ったのは昔出会った、おじいちゃんのことです。もう数十年前のこと。そのおじいちゃんとは同じバイトをしていたのですが、70を過ぎていて、 30歳の愛人を持ち、週一回愛人の家に遊びに行くのを生きがいにしています。バイトは遊び金のためです。

そんな人だから、戦時中も真面目に軍国少年などやる事はなく、空襲警報が鳴る中で女の今年結婚で、楽しいことをしていたそうです。

人間は思った以上に強く、自分勝手です。

 

劇中ですずは悲劇に見舞われます。それから様子が変わっていきます。戦争に対するスタンスもやや積極的になります。この辺がやり切れなく、そしてリアリティーのある部分です。戦争の根っこにあるのは出世欲と復讐心です。それが戦争に掻き立てるのです。

 

そして終戦します。

玉音放送聴いてて、すずは怒り狂ってしまいます。自分は暴力に屈したのだと、人影がないところで号泣します。

しかし、数ヶ月もするとたくましく復活します。つまり暴力に屈したのではないという表現なのだと思いました。

この感覚は現代のテロにも通用する話です。テロの最終目的は我々の日常を混乱させその怒りを不甲斐ない為政者などに向けることです。

だから、暴力行為に怯むことなく、今までと同じように暮らし、「お前らの暴力は無駄だ」というメッセージを発し続けるのが暴力への対抗なのだとおもいます。

 

この映画の素晴らしさは、大衆心理の描き方です。我々市井の人の社会の動きに対する心理の変化が妙にリアルだと思いました。また、話の出だしから、過剰演出がなく、すっと入れるのも素晴らしい。

きわめつけはやはり声優のんの仕事です。子供時代、大人と、全てをこなすのですが非常に自然な演技で、かつ型にはまっていない。こんな声で話す子どもいねえよ、という没個性な感じがなく、きちんとその延長線上におとなのすずがいるところが良かったです。