近くのスーパーが閉店する。
よく買い物に行っていたので、ちょっと郷愁にかられる。
そのスーパーは今の家に居つく以前から存在する。
建物の外周にある階段なんてガラス張りで採光が良いのに、店内の照明は暗く、寂しい印象があった。時代的に、建て替えブームの一瞬手前で、もしかすると昭和後期に建てられたもので、壁もくすんでいた。その後、内装は改装した。したのだが、なぜか改装前と壁の色は同じだった。同じ系列のスーパーで統一の色なのかもしれない。その方がコストが下がる。確かにその前の壁と比べれば、新しくはなった。
そういえば、二階と一階が同じレジで精算できるようになって、お菓子や洗剤、薬品、ドリンク類が二階に集約された。初めは一階のレジでまとめて精算できるとは知らず、めんどくせーなと、二階では買わないようにしていた。
改装と同時に、自動レジが配置された。これがなれるまで大変だった。レジ台を挟んで右に買い物カゴを置き、左にレジを通したものを置く計りになっている。計りの精度が昔は高すぎた。ちょっと触れて揺れても反応し、店員を呼び出さなければならなかった。
だが、そんなシステム諸々にもなれて、毎日の生活に必須のものとなった。
閉店セールをして、最上階はもうクローズしていった。
お昼に、以前流れた「宮崎駿、終わらない人」の再放送を、BSでやっていた。
これは「風立ちぬ」終了後、引退宣言をした宮崎駿の生活を追ったドキュメントだ。
引退宣言をしたあと、宮崎駿は毛虫のキャラクターの短編アニメを作っていた。これをCGで作ろうというのだ。宮崎駿、ジブリといえば、手描きのイメージがある。もしかすると、「レッドタートル」という高畑勲が加わったフランス映画の影響があったのかもしれない。この映画はCGを使っていた。
まあ、憶測だけどね。
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作中、次々と宮崎駿と所縁の深い人物たちが死んでゆく。
そのたびに悲嘆にくれながら、「仕方がない」と呟いて自らを慰める。
と同時に、CGなど、自分にとって未知の世界に触れて、刺激を受けていく。
だが、ご存知の通り、川上量生の持ってきたAIには嫌悪感を抱く。人間がのたくって進む姿に身体障害を持つ友人を想起して不快になったのだ。見ていて、きっと作り手には想像力が欠如していたのだろうと思った。そういうものを作ってはいけない、ということではない。相手がどんな人間かによって、不快感を示す人間がいるという想像である。
自らにとって新しいものに刺激を受けて、やがて、長編映画の政策の企画書を、鈴木敏夫プロデューサーに提出する。
私も40を超えて、何かが終わり、誰かが亡くなるという場面に出くわすことが多くなった。
これからもっとそういう場面に出くわすだろう。
そんなときに、それを背負いながら、新しい刺激に、意図的に向かう態勢が必要なのだろう。決して気分に流されてはいけない。
滅んでゆくスーパーは仕方がない。
それよりも新しい店を探そう。
そう思うべきなのだろう。
どうしてこんなにメランコリックなのか、それはたぶん真夏なのに、今日は涼しく、雨まで降りそうだからなのだ、と書いていて気づいた。