窓際に、置かれた植物は豆苗だ。
豆苗の炒め物を作った後、妻が豆苗の根っこを、タッパーに入れて、再成長させるのに凝っている。好きなのだそうだ。ところが、水を入れ替え、日当たりの良いところに出し、世話をしているのは私だったりする。そして収穫物は、再び彼女が食べるのである。
豆苗が発芽するタイミングというのが分かるようになってきた。
日当たり、というより、水温が味噌だ。日に熱せられてぬるくなった水を、豆苗の根が大量に吸い上げる。そうすると、背伸びをするように、自分の嵩をぐいと持ち上げる。まるで水を吸って、スポンジが膨れるようだ。
この根っこの膨張が始まると発芽はもう少しだ。
フライングするように、二、三本の芽が伸びてくる。赤ちゃんの髪の毛のようだ。
きっと彼らのなかでは、”ファーストペンギン”なのだろう。
ファーストペンギンが伸びると、よーいどんのように芽がどんどん伸び始める。
雨期だから伸びがよい、ということもない。が、冬よりは夏の方が伸びやすい。
業者さんはどうやって、あんなに立派な豆苗を育てているのだろうか。
妻曰く、液状の薬を入れているのだと。
私は、ライトを当てているのではないかと思っている。暗所と日の当たるところでは、如実に伸び方が違うからだ。
こういう雨期は運動するのが困る。
五月雨式に、降ってない時間と、自分のタイミングを計って、やるしかない。冬期、雨期、夏期、年に何度も「ジムに通おう」と思うのであるが、結局通わずじまいだ。理由は明確ではない。「なんとなく」入会しないのである。
イメージとして、ジムのなかに変なコミュニティができあがっている気がして、気が引けるのである。もう、「人間嫌い」というくらい、他人と関わるのがおっくうだ。齢を経るとみなこんなものであるか、とも思う。「人間と関わるのが好きで」とか、「医療関係者と打ち合わせをするために、女の子を侍らせて、緊急事態宣言があるなか飲食店に行ったんです」とかいうアイドルっぽい人間は本気でバカなんじゃないかと思う。
ふうむ。それにしても、「である」の方が筆が進む。
さて、朝走り始めたが、まだらに雨が降り始め、結局しとどに濡れた。
どうして、「です・ます」で書いていたかというと、小説を「です・ます」で書いているからだ。途中から変えても良いかとも思っているが、いかがしたものかね。