雑記

とある中年女性のお話。

いや、中年女性というより、もうすぐ老年に差し掛かろうとしている女性だ。

ある文書をword作っていて、途中からページ数を挿入しようと試みた。普通の書籍などはそういう構成になっている。表紙と目次にはページ数がないか、別途付けられていて、本文に入ると改めてページ数が入る。この構成にその女性をしたいと思ったのだ。いやできることならしたくないと思っていただろう。上司に命令されてしまったのだ。

「できない」

とその女性は大騒ぎをしたらしい。

もう老年にさしかかろうというのに、十代の女の子のように騒いだのだそうだ。その話をしていた人はその声を聞いていて、耳障りだと感じたそうだ。話をしていたのは女性の言葉を借りれば、「もうそんな嬌声上げても可愛くねえよ」と思ったのだそうだ。

すったもんだあって、何とか理想の状況にはしたのだそうだが、問題はできなかったことや大騒ぎをしたことではない、と話をしてくれた女性は思った。

トラブルがあって、その女性は全くGoogleなどで検索をしなかったことに問題がある。サポートをした他の人はGoogleで調べて、数十秒で解決したのだそうだ。それはそうだ。たかがwordの操作の話だ。

確かにその作業は昔よりも複雑な作業になった。「セクションをページ数を変えたいページから変える」→「ページ数を挿入する」→「前のセクションのページ数を消す」というのが大まかな流れだ。そのそれぞれの「　　」に細かな工程が入る。昔はもっと簡単だった気がする。

しかし、調べればすぐに分かることでもある。

その中年女性は「Googleで調べる」ということが完全に頭から抜けているようだったそうだ。

見ていて、この人は老後どうするのだろうと思った。このようなwordの操作やちょっとした旅行に、いちいち高い本を購入するのではないかと思ったのだそうだ。

女性に限った話になってしまって恐縮だ。他にも例があるのだが、それも女性の話。他意はない。たまたま話をしてくれた人が女性で、女性に目が行くのだろう。おじいさんでも同じ状況だとは思う。

こちらはもう年齢的には老年だ。その人はやはりアップルショップで何かを買わなければならないのに、同僚の人に頼んで購入してもらっていたそうだ。

こういう話をしていると思い出すことがある。それはマツコデラックスと有吉の会話で、「いちいち会話の途中でネットで検索する連中が鬱陶しい」と言う趣旨の話だ。

だが、世の中すでにネットで検索をするということが、前提になっていることが多い。病院の説明ですら、ネットでその病気や薬を調べているという前提で進んでいることが多く、新しい薬を使う時もどうせ調べるのだろう、という感じでざっくりとしか説明しなかったりする。

もちろんそれは、私などネットで普通に検索ができる、またはネットで検索をするという前提が頭の中にある連中の話だ。相手によって話の仕方も変えるのだろう。

だから年齢によって診察時間が異様に違う。中年から下の患者の診察はすぐ終わる。だが老人だと異様に長い。おそらくネットで調べれば済むことも、全部聞くからだろう。確かにネットは世の中の効率化に役立っているのである。皮肉な意味でも。

「酒を飲めないと人生の半分を損する」と言い言い方がある。半分は言い過ぎだ。

だが、主旨はそれは間違ってはいない。みんなと酒が飲めたほうが楽しいに決まっている。大人になってみんなが共通してできる事は、酒を飲むことぐらいしかないのだから。みんなで集まって野球をするわけにはいかない。

だが、ネットで検索できないと言うのは、確実に人生の半分を無駄にする危険性がある。趣味や娯楽で、出かけるにしてもネットで情報が収集できるのとできないのでは、行動に大きな差が出る。

それだけではない。

今年も災害が多かったが、その際の情報の収集の仕方も随分変わった。個人情報の絡みからか、テレビでの報道がまるで役に立たない。どこにいるのかが、出身者にも分からない映像になっていた。もう少し、広い範囲で撮れよ。もっともSNSでの情報もあまり役には立たないのだが。役所からの情報は、防災無線があっても、暴風の中では聞き取れない。そう考えるとネットで情報が収集できないのは危険度が増す。実際に、今年の台風十九号、台風二十一号の時には、市役所のHPにアクセスできなかった。

そんな時に、先に挙げた女性たちはどうするのだろうと、様子を見ていた女性が感じたのだそうだ。ただ様子を見ていた女性も機会が得意なわけではなく、我が事のように思ったのだそうだ。

とりあえずスマホは多くの人が持っているのだから、わからない事はとりあえずGoogleに聞いてみるという初心者のような癖は全国民がつけたほうがいいのだろう。

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