今日の十分日記

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原点回帰の雑記ブログ。十分で書ける内容をお届けします。十分以上書くときもあるけどね。十分以下もあるし。

天河伝説殺人事件

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 まさりんです。

 相変わらず、互助会騒ぎですか。しかし、分析における分類が曖昧なまま議論が展開していると思うのです。「おまえはそっち側じゃないだろう」って人間が自分の立場を隠したまま記事を書いていたりして、人間っておもしろい。

1,基本情報

監督:市川崑

原作:内田康夫

配役

浅見光彦:榎木孝明

長原敏子:岸惠子

水上和憲:日下武史

水上秀美:財前直見

水上和鷹:山口粧太

水上和春:山口信司

道伝正一:岸部一徳

高崎義則:神山繁

進藤綾:奈良岡朋子

仁礼新刊:大滝秀治

仲村:常田富士男

石渡五郎:酒井敏也

石渡ユリ:岡本麗

橘署長:小林昭二

仙波警部補:加藤武

水上菜津:岸田今日子

剣持譲介:伊藤四朗

浅見陽一郎:石坂浩二

 

2,概要

 市川崑の「天河伝説殺人事件」がやっていたので見た。この映画は、中高のときに流行った映画である。当時、「天と地と」という海音寺潮五郎原作の小説の映画化の主演をとった、榎木孝明(今、断食で有名になっている)が、「天河~」の主演である。

 物語としては八〇年代の角川映画でよく見たパターンだ。開始十分もせずにわかってしまう配役、人間関係も話の途中でわかってしまう。

 興行収入も「犬神家の一族」よりも低く、当初次回作を作ろうとしていたのだろうけれども、挫折したことがうかがえる。作品の最後、「浅見光彦事件ファイル第一号」という文言があった。次作の構想があったのだろう。

 

3,あらすじ

 事件は新宿の高層ビル街から始まる。天河神社ゆかりの五十鈴を持った男が急に倒れこみ、死ぬ。

 当時、奈良県吉野に旅行中の浅見光彦(榎木孝明)は、密猟者として疑われ、駐在所に連れて行かれる。それを救ったのは、天川村の天河館の女将である敏子(岸惠子)であった。光彦は帰京後先輩(伊東四朗)の依頼で能についてのルポを書くことになり、再び天川村に行くことになる。ちなみに、「天川」表記は村を、「天河」表記は神社関連を指す。

 同じ頃、能の水上流は後継者選抜のときを迎えていた。候補は異母兄弟、兄和鷹、妹秀美(財前直見)だった。秀美の母(岸田今日子)は正妻であり、秀美に後を継がせることに血熱を上げている。

 異母兄弟の父は十二年前に死去。その追善能を機に引退を決意していた。その追善能で、宗家は「道成寺」を舞う。「釣鐘落とし」の装置が舞台に降り、そのなかで「雨降らしの面」をかぶる。釣鐘が上がると、苦しみ死ぬ宗家が舞台に倒れた。駆け寄る秀美。「雨降らしの面」を取ると、そこには兄和鷹の死体が。

 だが、証拠品の「雨降らしの面」は消え去った。

 

 さて、誰がなにをしたのかはだいたい想像が付くだろう。

 

4,感想

 映画というのは、様々な要素の総合的なものだ。様々な要素とは、物語(台本)、演技(演出)、音楽、そして絵だ。絵は、小道具、CGなど多くの要素を含む。他もそうだろう。

 良い映画というのは、物語、演技、絵のうちのどれかが、秀でているものを指す。残念ながら、音楽が他の要素よりも突出するのはいただけない。音楽だけがすばらしい映画は駄作だ。一番監督の作家性が出やすいのは、絵か物語だろう。役者の特性がでやすいのが演技だ。

 日本のアニメ映画がどうして日本人の心を引きつけるのかといえば、「絵」の要素が大きいだろう。「絵」がすばらしいのだ。多くの日本のアニメは「絵」が主であり、他の要素は残念ながら従だ。いかにすばらしい物語があっても、「絵」がだめならば駄作になってしまう。漫画太郎の物語を、北条司の絵でやったら当然おかしなことになる。たとえが古くて恐縮だ。物語とマッチングする「絵」というのが存在する。ただこの辺りは漫画の歴史がそれほど長くないのかもしれないのに、確立されてしまった感がある。

 どうして日本映画がつまらないか。それは「絵」がつまらないからだ。はじめに見た目だけの下手な若い役者を使わなければならないという予算的な制約(若くても上手な役者はいる)、そして「絵」に作家性がないからだ。

 

 天河伝説殺人事件に戻ろう。この作品のおもしろさは、「絵」にあると思う。演技は上手な役者がやっている。金田一シリーズと重複する役者も多い。だが、物語はよくある話だ。しかし、陰影の使い方が市川崑なのである。陰が濃い。メイクも役者の特徴を出すようにしてある。浅見光彦は時代劇のような眉の濃さ、白く濃いおしろい。敏子(岸惠子)は唇の赤さ。秀美(財前直見)は現代的な濃いメイク。それぞれのキャラクターがメイクの様子でわかるようになっている。だが、マウンテンハットを被ったときの光彦は眉毛が隠れる。

 先輩からルポを頼まれるとき、二人で若い女性がたくさんいる喫茶店へ行って、二人でぜんざいを食べるのだが、店内が異様に暗い。

 凶行が起こったとき、秀美はみなと行方知れずの兄を探しに廊下に出る。廊下は暗く、全員の顔が陰に隠れるのであるが、秀美の白塗りの顔だけがぼっかりと浮かぶ。

こういう陰の細工が多い「絵」になっていた。こういう細かい細工を映画館で見たら、楽しかったと思う。見に行けば良かった。ただ、ものすごく宣伝を打たれると、「ああ、おもしろくないから宣伝しまくるんだろうな」とあの当時の私は思っていた。

 おもしろい映画を探すコツは、偏見をすて、とにかく見ることだ。今はレンタルで安く見られるし、BSでは死ぬほど映画をやっている。

 

 最後まで見終わって思ったのは、「市川崑っていうのはバブルが大嫌いだったのだろうな」ということだ。九十年の年初にバブルが崩壊する。もちろん、まだまだ時代の空気は残っていた。円高不況の経験から、「すぐ回復するだろう」という楽観もあったように思う。この映画はそういう時代に作られた。時代に反発するような暗い「絵」。あのころのホイチョイに比べればものすごく暗い。ホイチョイとは、「私をスキーに連れてって」などを作ったプロダクションだ。しかし、今の時代でも見られるのは市川崑なのが不思議だ。

 

 主題歌は中森明菜の「二人静」。


中森明菜 『 二人静 ~天河伝説殺人事件~より 』 MV


 

 この曲を作ったのは、もとC-C-Bの関口誠人である。

 中森明菜が家族と長年にわたるトラブルを抱えているという報道があった。恥ずかしながら? よく知らなかった。近藤真彦との間はさすがに知っていたが。昔から、そこまでゴシップに興味はなかった。むしろ、スマホでニュースを簡単にチェックできるようになったこの数年興味を持った。

 

jisin.jp

  関口誠人も最近は大変なようだ。芸能の世界で生き残るのは難しい。

 

元C-C-Bのギタリスト関口誠人、ヒモ状態を告白 「食えていない」 - ライブドアニュース

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