まさりんです。
ゴールデンウィークを楽しんでいる人って、結構多いんですかね。今日朝、総武線に乗ったのですが、結構空いてて、いつも座れないのですが、楽勝で座れたなあ。世の中の人は、休日を楽しんでいる人が多いんですね。
その用事が終わって、帰ってきて、昼食。
昼食を食べながら、「山の郵便配達」を見た。昔ぼうっとしながら見たのだが、物語をすっかり忘れていた。冒頭、タイトルが映し出されたのだが、日本語で言えば、「あの山、あの人、あの犬」。犬? そんなのいたっけ? それくらい忘れていた。ただ、美しい景色だけが記憶に残っていた。でもその見方で正しい映画だろう。
- 1,基本的なお話は親子の美しい物語
- 2,だって、文科省推奨の映画みたいなもんでしょ? 文科省どころか中国でしょ。
- 3,隠された秘密。ちょこっと中国の体制批判。
- 3,中国人にとっての映画って。
- 4,基本情報
1,基本的なお話は親子の美しい物語
主人公は二人。郵便配達の父親(トン・ルゥジュン)と息子(リィウ・イエ)である。父親は足を悪くして、郵便配達を引退することになった。その役目は息子に譲られる。息子のはじめての配達の日、父親の配達にいつもついていた「次男坊」と呼ばれる犬が父親のそばから離れず、息子について行かなかった。その様子を見て、父親は息子と一緒に行くことを決意する。
二泊三日の配達の旅。父親は息子に配達のコツを教える。と同時に、父は息子や妻との思い出、息子は父親との思い出を振り返る。
2,だって、文科省推奨の映画みたいなもんでしょ? 文科省どころか中国でしょ。
冒頭のオープニングで現代が映し出されたと同時に、「中国アカデミー賞受賞」の文字が出た。いやな予感がした。舞台は八〇年代前半の中国。もちろん、「一人っ子政策」を行っている。その状況で、犬の名前が「次男坊」。一人しか子どもを持てない悲哀を感じてしまった。
父は公務員としての意識が高く、あとで上司である局長が、配達をさせたことを後悔してしまうくらい、険しい道を配達した。長年の苦行で足を悪くする。だが、父親は(たぶん党の)幹部になれなかった。それでも息子には配達員として、誇り高く生きることを伝える。「愚痴を言うな」から始まる教え。村々の状況に応じて、人々の生活に応じて、こまかい配慮までする。
一人暮らしのおばあさんが寂しいと思っているのなら、代筆をして孫の手紙も書いてあげて、おばあさんの気持ちを慰める。息子はそこまでする父親に疑問を感じながらも、父を受け入れる。
国の役人としての生き方を提示するというところが中国で支持されたのかなと思った。
3,隠された秘密。ちょこっと中国の体制批判。
だが、取りようによっては、体制批判とも取れる部分もある。それだけ長年の苦労をした父が報われないという設定もそうだろう。息子は父がいないぶん、生活をしている村の事情に応じて様々な対処をしている。物資は村長を通じて配分される。そこで気に入られないと不平等な扱いを受ける。だから、「自分が配達員になったら、融通を利かせてくれ」と息子は父親に言う。父親はそれに対し、「公務員としてはそれは見逃せないな」と言う。
中国の歴史といえば、今もそうだが、政治腐敗と切っても切り離せない。しかも、日本の政治不正が甘く見えてしまうくらい豪快だ。防いで稼いだ金で、愛人を囲い、アメリカで生活する、みたいなことを今でもしている。そういう不正を父親は「許せない」と言っている。
舞台は荊州南部の山岳地帯だ。作中でもそこで少数民族が出てくる。そこで結婚式に親子は参加する。その結婚式を公務員である父は心から楽しむ。中国式じゃないから許せないとは思わない。少数民族を尊重しているのである。そして、息子もその少数民族の女性のことを好きになる。
また途中で、中学に通うのは距離があるすぎるから、途中で通わなくなったという若者が出てくる。結局は、その後通信教育で教育を受け成績が良いので記者になるというようによい終わり方をしているのだが、取りようによっては、教育に関する不平等を主張しているようにも取れる。
中国は人口の〇.四%が所得の七割を占有しているらしい。
3,中国人にとっての映画って。
結局、不満のガス抜きの一つなんですよね。ブログで感想を書こうと思うと、物語の構成など、細かいところを冷静に分析的に見ようとしてしまう。本当は良くない見方です。つまらないもの。
このようにいくつかの政治的な主張が隠されているように見えるのであるが、こう見えるのは、たぶん私の心が曇っているからだろう。それにしても、こういう映画が評価されるのが、本当の「愛国無罪」だね。
素直に、「きれいな風景、美しい人情、感動的な親子関係」という見方でいいのである。山の奥に行くと、人々の顔がベトナム風になっていく。また拡がる田園風景。棚田。アジア人の原風景がそこにある。
個人的には猫派であるが、「次男坊」であれば、飼いたいなと思った。
4,基本情報
監督:霍建起
脚本:思蕪・秋実
配役
父親:トン・ルゥジュン
息子:リュウ・イェ
母親:ヂャオ・シゥリー
五婆:ゴン・イェハン
トン族の娘:チェン・ハオ