今日の十分日記

今日の十分日記

原点回帰の雑記ブログ。十分で書ける内容をお届けします。十分以上書くときもあるけどね。十分以下もあるし。

本当にあった「このハゲ~」ーー十分日記46

スポンサーリンク

昼、定食屋に入った。

とてもかわいい子が給仕してくれた。こういうとき、ちょっと照れてしまう。

店に入ったときには多少混雑していたが、ちょうど客が途切れるタイミングだったのだろう。注文をして待っている間に、どんどん店内は空いていった。

ということは、店のなかは静寂に包まれるわけで。

 

時間があまりかからずに、注文の品が出てきた。

すぐ近くに人気のある、大手の定食屋がある。が、たぶん経営者ががめついのだろう。店員数が足りていなくて、空席があっても客を待たせ、座っても注文するだけで一苦労。定食屋は回転率を上げるために定食にしているのに、出てくるまでにやたら時間がかかる。二〇分くらい待ったということもあった。

 

ここではそういうことがない。

食べていると、厨房の方から声が聞こえた。

「おい、ハゲ、これ洗っとけ」

どきりとした。女性の声だった。

厨房のほうで声がした。三人女性の店員がいて、一人はホールに出ている。もう一人はこちらに向いている。発言者ではない。声が違った。

自動的に例のかわいい子が言っていることが分かった。

もう一人の女性店員は笑っていた。

男性の店員が二人いて、一人は店長っぽい割烹着を着ていた。だから、言われたのはもう一人の方だと察せられるが、黒いエプロンをした男はハゲが特徴ではなく、デブが特徴だった。

「おいデブ、これ洗っとけ」

と言われたらその言葉を引き受けたかもしれないが、ハゲてないのに、ハゲと言われる気分はどうなんだろう、と定食を食べながら考えた。

帰るときに「丸聞こえだよ」と忠告した方がいいか迷った。

だが、その男性店員がそう言われることを喜んでいて、にやにやするど変態だったら申し訳ないので止めておいた。変態なら喜んでしまうくらい美人だった。

ただ、確かにちょっとヤンキーがかっていた。

水を飲み干して、「水下さい」とお願いしたら、一瞬「あ?」という顔をした。

 

流行っている言葉というのは、こういう風に使われていく。

かの女性議員は私とほぼ同い年だと思うが、ダウンタウン直撃世代だった。

浜田雅功も松本人志も、人に向かってよく言っていた。

「このハゲ~」、「くさっ」。

もちろん、ハゲていないし、臭くない相手に、である。

本当にハゲていたら言えないだろうし、臭かったらもう少し言い方が変わるだろう。

 

私自身も高校時代に言われたことがある。

面食らった。

テレビでタレントが使った言葉を本当に使う馬鹿が存在すると思っていなかったのである。

テレビの影響を受けるなんて、小学生のドリフ以来だ。学校コントとかで、志村けんが先生役のいかりや長介をからかうのである。だが、本当に学校で先生にやれば、先生はぶちぎれるだろう。まだ体罰があった頃だったので、本気で殴られたろう。

本当にその男を馬鹿だと思った。

 

使うタイミングもなっていなかった。芸人どうしでなく、そういうことをやれるほど、そいつと仲がよかったわけではない。だから、本当はそういうことをやるということを何らかの形でこちらに合図しなければならない。

これからふざけるよ、という表情や目線を送れば分かるのである。

仲がよければ、話しぶりでそういう雰囲気というのを醸し出せる。

それほど仲がよくない場合は、すこし大げさにそういうことをやらなければならない。そういうことが馬鹿だから分かっていなかったのだろう。

そいつは終始馬鹿だった。

 

言えることは、そうやって時代の影響を受けているとすれば、かの議員の「このハゲ~」は別の意味が加わる気もする。

そういえば、ワイドなショーで、だれもそれは指摘していなかったな。

 

ブログランキング・にほんブログ村へ