現在12月15日。
昨日だったか、ゴーンが再逮捕された。マスコミの憶測では、有罪に持ち込むのは難しいという話もある。
最初に逮捕されたとき、夕方に速報をラジオで聞いた。
TBSのアフターシックスジャンクションだったと思う。六時から七時くらい。外を歩きながらであった。
聞いたとき、「ああ、またやっちまったか」と思った。
日本人の外から来た人間への冷たさが前面に出たな、と。
古来から日本には外国人が多くやってくる。
有名な話だが、古代の渡来人のなごりが京都の地名に残っている。「太秦」だ。
渡来人には「秦(はた)」の姓が与えられた。その秦氏が多く住んだのが太秦の土地であった。自由に住めたわけではなく、居住区域が制限されたということだろう。
その後、長崎の出島もそうだ。外国人の居住域を制限した。
明治維新直後にも、多くの外国人顧問を招聘した。その後は冷たかったらしく、なかには不満を持った者がいたとかいないとか。そんな話を日本史の授業で教わった。
だからか、ゴーン逮捕も「また猟狗煮られる」が起こったと思ったのである。
ただし、外から来た人へだんだん冷たくなっていくのは、日本人の性であるので、私自身もぴんとこない。
たとえば友人がはじめて家に来たとする。はじめて来たときは歓待する。
だが、二度三度来るようになると、だんだん家族と同様に扱うようになる。外国人からすれば、それはぞんざいに扱われたと感じる人も居るだろう。日本人はその方が「受け入れられた」と嬉しいと感じる。
別れの時は「跡を濁さず」じゃないけれど、去る側がそっと帰って行く。寅さんの最後である。それが一連の流れであって、それこそ文化の違いだ。
マスコミの扱いが真っ二つに割れて面白かった。といっても、それぞれを読み、見たわけではない。だが、なんとなく大手の新聞社とテレビは、ゴーンを大悪人として扱い、スポーツ新聞などは「クーデター説」を挙げていた。
内部リークだったようだから、背中を刺したとみられても仕方がない。最近はme_too騒動にはじまり、リークの心理的なハードルが下がっているとはいえ、これはセクハラとかパワハラでもなく、ばれたら終わりだ。そんなことをするわけがない。
テレビに出ていた日産の役員はニコニコしながら、「逮捕について聞かれても、私にはわからないので」と言っていた。惚けているようにしか見えなかった。
取材に来ているのが仲間とでも思ったのだろうか。
メディアによって扱いが違ったのは、メディアへの意図的な漏洩があった可能性があると、私は考える。スポーツ新聞のテイストから考えれば、より強者であるゴーンをたたく方へ向かいそうなものである。だが、大手の新聞が情報をもらい、自分たちがもらえなかったことで、意固地になっているのだろう。
なんとなく日本の経済の縮図を見ているようだった。
江戸時代やもっと前からか、同業者組合のようなものがあった。「座」とか「株仲間」とか呼ばれた。株を買ったり、とにかくお金を使うことで、仲間に入り、その業務を独占する。
今はそれが株購入ではなくて、「学歴」なのである。
同じ大学を出た人間が各業種に散っていて、利益を融通・分配しあっている。
同じ事はメディアにも起こっていて、メディアからは他業種の同学歴の人間から情報がもたらされる。日産はこの「座」を利用して、あらかじめ敵に回したくない所へ情報を周到に流し、クーデターを準備した。ルノーの完全傘下にならないように。
その「座」には検察や警察、政治家も参加している。
この新しい「座」はむしろバブル崩壊後に強化されていった。
「今は学歴社会は関係ない」
と、大卒の人間が言っていたら、「こいつはバカだ」と思った方がいい。もう、ある程度の学歴があり、組織に入った瞬間、自動的にこの新しい「座」に参加しているのである。サラリーマン経験があるなら、今フリーでも同じである。
中退も一緒である。
若い内に努力すれば誰でも手に入れられる位置だ。
勉強しろと言わない親は、全員ろくでなしである。
と言いたいが、現実は逆で、公立の教育はどんどん縮小、弱体化の方向にある。
私立は金がないといけないし、金がないと入ったあと友達とも遊べないだろう。
私立に入れながら、予備校などに通わせるのが普通だ。
つまり、子どもの学歴も、親の「座」が占有しているのである。