大企業で同年代がついにリストラの対象になった。
45歳でリストラを言い渡される。
レポートをいくつか読んだ。もう首切り前提で、改善案を提出させられたりする。それをもとに、面談をする。上司からは、死ぬほど揚げ足を取られる。もう自分は必要とされていない、と感じて早期退職に同意する。
ところが、やめたところで次の職場では安く買いたたかれ、年収は下がる。そのレポートでは200万円近く下がっていた。今の45歳は20代で結婚している者が多いので、子供は高校生か大学生か。いずれにせよ、お金が一番かかる時期である。
経団連の会員企業のお歴々の年齢をチェックしてみた。
だいたい、1947~1955年生まれだ。私は40代前半だが、だいたい親父の年齢だ。
親父が息子に、「お前はいらない」という宣告をしていることになる。
誰か聞いてくれないかな。「子供に死刑宣告をする気持ちは?」って。
仕方がない? いっつも親父はそう言う。口癖だよね、親父の。
ずっと我慢してきたんだぜ、オレたち。
お歴々の世代は、会社にかまけて子供とも遊んでいないだろう。
子供に対する情がないのである。
いや男は理屈に感情を合わせるところがある。子供が欲しいとはならないのかもしれない。
某タレントさんが離婚をした。
理由は「子供が欲しい」というものだった。タレントさんはもういい年齢だった。
これは直接の理由ではないだろう。若い女が欲しくなった、というのが本当の理由だ。つまり、タレントさんに飽きたのだ。
意識というのは面白いもので、周囲に左右される。元夫は三十代前半。急激に婚期が遅くなっている昨今、その感覚に影響され、逆に真剣に一生を連れ添う相手を考えなければならないと思ってしまったのかもしれない。このタレントさんでいいのか。そう思ってしまった。ちょっと昔ならば、三十代になってカミさんがいれば、そのカミさんととりあえずは一生連れ添うのだろうと考えるはずだ。
どちらにせよ、失礼な話だ。同情もする。
「子供が欲しい」という感覚は男は抱きにくい。男は「好きな女の子供が欲しい」と思うものだ。子供に対しての欲求は間接的だ。だから、この元夫の言い分は止めを刺すための方便だろう。しばらく、「別れる。別れない」で揉めたのかもしれない。
我が家にも子供がいない。
原因は私の病気が遺伝性である可能性があること、その発病時期の多くが思春期から青年期であることだ。発病すれば、人生を不意にする可能性が高い。別にそれについて両親を恨んでいるということもなく、自分の子供がいたらばそうならないとは思う。だが、見ていられないだろう。完治することができない以上、なかなか子供にこの気質を伝えるのは難しい。(一応言っておくが、だからといって公的に子供を持つことを制限することに与さない。長谷川豊的な)
もう一つは病気と関連している。病気を抱える身で子供を育てきれないだろう、ということだ。夫は実家が壊滅し、折り合いも悪い。妻はそういうことはないが、余裕があるかといえばそれほどでもない。頼れば助けてくれるだろうけれども。
何回か、そういう事情だからと、別れてもよいと切り出した。
某タレントとは逆の状況だ。
妻はそれでもよいと言ってくれた。だが、うれしさと同じだけの罪悪感を抱えながら生きることになった。それは仕方がない。
結果論として、子供を持って家族数人でやっていくのは不可能であったと思う。病状の悪化、他の病気の発病など、なかなか難儀な人生を送ってしまった。
フミコフミオ氏の記事に奥様のことが書いてあった。同じようなシチュエーションはよくある。八つ当たりなのではないかと思うくらい、しつこく言われることもある。すべては私のせいなので、なんの反論もない。読んでいてそれを思い出した。
フミコ氏の「同意したのに」という気分が出ていて、複雑な気分になった。気持ちはすぐに変わってしまうものだ。
なぜか、男女平等にしようという気分と裏腹に、男らしさはずっと要求される。
(引用させていただきました。悪しからず)
誰か記者会見で経団連のトップに聞いてほしい。
「子供の世代に、お前はもう必要ない、と宣告する気分は」と。
なんて答えるのだろう。この世代をさんざん使い倒して、最後は使い捨てる。そう決める気分は。あなたの子供にあなたが直接言うわけではないが、あなたではない同世代があなたの子供にそう言う可能性があるわけです。間接的に自分の子供にそう言うことになる可能性もある。仕方がない?
本心から苦々しい顔を一瞬だけ見せて、それから「断腸の思いだ」くらいは言ってくれるだろうか。親父殿。