今回は「暁の蜂起」が実際に起こる。
「暁の蜂起」とは、ジオン士官学校の面々が地球連邦軍の駐屯地を奇襲する作戦だ。これは成功してしまう。と同時に、ジオン国民の戦争気分を掻き立ててしまう。
シャアはこの蜂起の裏でガルマ・ザビを煽りに煽って蜂起を促す。
復讐を誓っているシャアにとって、戦争の混とん状態の方が、事を為しやすいのであった。
蜂起は見事成功する。
その裏で、アニメ版ではシャアにあのバイザーを与えた友人を謀殺する。シャアのあの格好はバイザーをして、その上からヘルメットをして完成する。
その友人はシャアがキャスバルだと見抜いていた。だが、たぶん父ジオンに心酔していて、シャアの素性のことを秘匿することを誓う。しかし、シャアはその人間が邪魔だ。だから戦闘のどさくさに紛れて殺すのである。
ちょっと過剰演出だ。
原作では、謀殺まではせず、友人は戦闘中に流れ弾に当たって死んでしまう。その感じの方が運命に導かれているようでよかった。のちのシャアと整合性があるのである。
後年のシャアというのはそういう人物だ。彼と深く関わった人間はみな死んでいく。来週から出てくるであろう、ララァはもちろん、彼と恋仲であったかもしれないレコア・ロンド、Zガンダムで彼の部下として登場するアポリー、ロベルト、機動戦士ガンダムで一番初めに出てくるムサイの艦長ドレンでさえ、のちに死ぬ。そういう流れの一番初めの人物として、この友人を扱った方がよかったのだと思う。
漫画版の特典で、安彦良和がどう作品を描いていくか、スタッフとブレインストーミングを行っていくというところがある。
細かい時系列の流れや、この時点での宇宙戦艦はどのようなものがあったか、それで追加で大河原氏にデザインを依頼しているところなど、様々な裏方とのやり取りがあった。スタッフがどのような人かは私はわからない。ただ、この宇宙世紀の世界をきちんと知り尽くしているような感じだった。
こういうスタッフと作り上げているからこその設定が随所にある。これもその一つなのではないかと思うのである。
それゆえに過剰演出はいらなかった。ある意味、友人が死ぬところのほうが、シャアが率いる奇襲作戦よりもクローズアップされてしまった。とても残念だった。
機動戦士ガンダム THE ORIGIN コミック 1-24巻セット
- 作者: 安彦良和
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
- 発売日: 2015/02/26
- メディア: コミック
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