レザボア・ドッグスとは「クールな男たち」くらいの意味らしい。レザボアは直訳では貯水槽とか貯水池という意味らしい。タランティーノ自身は自由に解釈せよ、とのこと。
ただ、内容はクールとはいいがたい。
ボスを囲んで男たちは食事をしている。
食事が終わって、ボスが会計をする間、「ウェイトレスにチップを出せ」という。男たちはそれぞれチップをテーブルの上に放る。だが、一人だけそれをするのを嫌がる。「どうして給料をもらっているのに、それ以上のチップを渡す必要がある」
とごねる。頭を冷やせ、ミスターピンクと諭される。男はどうしてピンクなのか。
「いいか、高卒の女性の多くがウェイトレスとして働いて、生活費を稼いでいる」
とほかの男たちはウェイトレスに同情して説得する。最後は折れてしぶしぶチップを払う。
店を出たところで、かっこいいオープニングが流れる。
レザボア・ドッグスで知った人も多いだろう
Reservoir Dogs Opening Titles [Full HD]
ふうむ。
何度見てもかっこいい。
オープニングをばっちり決めた直後、急転直下の展開になる。
車を運転する。ホワイト(彼らは素性をお互い隠すために色で呼び合う)。が血まみれになってのたうち回っている。
彼らは宝石強盗を画策した。ところが。
現場に着いたところに警官が待ち受けていた。
彼らは傷つきながらも宝石を奪い、集合場所である倉庫に戻ろうとしていた。
倉庫でホワイトはオレンジを介抱しながら仲間がやってくるのを待っていた。
そこに宝石を運んで安全な場所に隠してきたピンクが返ってくる。
そして、「このなかに犬がいる」と言い出す。
舞台設定としてはそういう感じだ。
誰が犬なのか、これから彼らはどうするのか、という心理劇である。
九万ドルという破格の製作費で作られているために、逆に随所に工夫があってやっぱ面白い、レザボア・ドッグス。
スティーブン・スピルバーグが初めて撮った映画、「激突」も低予算映画だった。
やはり心理劇であった。
結局、この「レザボア・ドッグス」の一番好きな部分は、物語の構成のスリリングさだ。オープニングからいきなり、急転直下するところとか、挿話として入るそれぞれのキャラクターがどうやってこの犯罪にたどり着くのかなどが無駄がなく、スリリングである。ホワイトはある色の男に肩入れするのだが、どうしてその男に肩入れするのかわからない。だから、見る人間は「ああ、肩入れしたのね」と事実を受け入れるしかない。初めて見た後、もしかするとホワイトはゲイなのではないか、とまで思った。だが、見ているときにはそれを自然と受け入れてしまうのである。
そして、ラジオDJが随所に出てくるのだが、そのかかる音楽と、DJ自体のクールさがたまらない。
結論は、全部かっこいい。パクりまくっているらしいが、それでもかっこいいからよい。