だれだって、人生が行き詰っているのを感じることはあるだろう。このままではまずいと。
だが、それはスタートだ。
スタートに過ぎないのだ。
どんな人にも制約はある。
それも一緒だ。
EXIT兼近が過去逮捕されたことがある。
それは売春あっせんであった。
真実がテレビで語られていた。
貧困な家庭に育ち、生活費を稼ぐために夜の仕事に就く。
そこでおそらく店自体が売春のあっせん的なことをやっていて、その片棒を担いでいたのだということだ。
その後、現金強奪事件の容疑者として拘留される。
事件自体は不起訴処分になる。
この事件の拘留中に、又吉直樹の本と出会い、芸人に憧れる。
この過去が彼を追い詰める。
なるべく人が集まる場所は避けるようになる。
飲み会に誘われれば、「飲み会は苦手なんだ」と断る。
芸能人のスキャンダルを雑誌で見れば、「次は自分なんじゃないか」とおびえる日々。
わかるわー。
そして騒動が露見する。
文春だっけ?
きっと重力に追いつかれた気分になったと思う。
なんとか逃げ切れると思っていた過去が、いきなり後ろから肩をつかむのである。
背中にのしかかるのである。
もちろん、私自身は犯罪歴はないが、わかるわー。
「あるある」です。
どうしようもない家族を持つというのも、こういうものである。
自分が無難に生活をしていても、縁は切れず、後ろから肩をつかむのである。
だから、いろいろ言い訳をしているが、私には他人の親になる気になれない。その縁が子どもにとってどれだけ負担になるか、想像すると背筋に冷たいものが流れる。
もちろん、物理的に病気持ちであるから、遺伝させないほうがいいというのもある。
それを受け入れてくれたカミさんには感謝してもしきれない。
しかし、やれることとやれないことはある。
だが、同時に親を責めきれないという想いもある。
小さいころにきちんと育ててくれなかったわけではない。
十分に育ててくれた。
身体は弱かったが。
その感謝の念が、憎さと共に沸き起こり、騒動が起こるたびに私を苦しめるのである。
でも、これがスタートだ。
ここからがオレの真価だと思わなければならない。
結局、悲しみは怒りに変えないと、前には進めないのである。
EXITがんばれ!
「実はいい人」キャラは嫌いじゃないよ。