用事を済ませ、駅前のコンビニへ昼食を買おうと向かった。
長蛇の列だった。
『もしかして、入店制限でもしているのか』
と思い、たまたま店外にいた店員さんに目線と指差しで、「入って良いの?」と聞いた。「どうぞどうぞ」という感じだったので、そのまま入った。
店内で弁当を並べていた店員さんに、「表、どうして並んでるの」と聞いたら、苛立った感じで「マスク!」と小さく怒鳴った。
昼食をレジで精算していると、どっと外で並んでいた人が入ってきた。マスクを手にしているのだが、その列がすぐ後ろまでやってきた。ちょっとした雑踏になっている。
『こらこら、三密にするな』
と内心ごちた。ただ、全員が老人であったが、その勢いに気後れして言えなかった。
レジをやってくれた男の店員に、「集まるなって言ってんじゃんね」と軽口を叩こうとしたが、近づく群衆にピリピリしていたので、そのまま群衆に交わらない様に外に出た。
外に出て、家路につこうとしていると、後ろを歩く、若い女二人が言っていた。
「マスクだって、買う」
「すごい人・・・・・・。うちはいらない、・・・・・・くんがいっぱいマスク買ってくれて、うちのなかに腐るほどあるの」
たぶん並んでいる老人たちにもそういう人がいるのだろう。
仕事がない老人は家にいればいいのである。家にいれば、マスクは必要ない。