お題「#おうち時間」
大体、はてなの人々は極端なアウトドアか、極端なインドアに分かれる気がします。私はもともと、極端なアウトドアでしたが、今は極端なインドアなので、まあ外出してはならないと言われるのは面倒だなと思いますが、外出しないのはそれほど苦痛ではないです。
1,おじさんたち、小学生の頃の会話
さて、今四十代半ばとか、三十代半ばの男が小学生だったときには、きっとこんな話題で盛り上がっていたと思います。
「誰が一番強いのか」
定番ですよね。
「ブルース・リーとジャッキー・チェンとユンピョーとリーリンチェイのうち誰が強いのか」
というのは定番の話題でした。私の周りでは、
「ブルース・リーを出すのは反則」
ということになっていました。ブルース・リーは絶対的な強さを誇っていました。
そして、
「ジャッキーはただの役者、リーリンチェイ(のちのジェットリー)は本当に強かった」
という位置づけでした。最後に
「サモハンは」
と誰かが言い出して、
「サモハンはないわ」
とみんなで笑って、終わりました。
まだ、小学生の我々は、ジャッキーの偉大さも、サモハンのすごさもよくわかっていなかったのです。中学生になった後、本当はサモハンはすごい役者の演技の指導ができるほど、カンフーを熟知していることを知りました。大人になって、昔のように戦っているジャッキーのすごさも身にしみて分かるようになります。
今回のイップマンのサブタイトルは、本当は「イップマンVSボクシング」です。ですが、真実の対決は「イップマンvsサモハン」です。少しあらすじを書きます。
2,あらすじ
イップマンは仏山の富豪の家に生まれます。
詠春拳の達人です。
仏山は第二次世界大戦で日本軍に占領されます。そして理不尽な目にもあいます。
すったもんだあって、イップマンは詠春拳で日本の琉球空手の達人である、司令官をぶちのめします。身の危険を感じたイップマンは綿工場を営む支援者の協力の下、香港に逃げ込みます。香港はご存じの通り、イギリスの租借地になっています。そこでは白人たちが横暴の限りを尽くしています。
イップマンは生活のために、武館(道場のこと)を解説します。
そこに身寄りのない街の不良たちが入門します。
実は香港で武館を開くには掟があります。
それは他の流派の師匠たちに認められる必要があるのです。
イップマンは他流派の師匠たちと戦います。
そこでサモハンは洪拳の師匠として登場します。
この洪拳は「洪家拳」といって、南部少林拳の代表的な流派だということは以前書きました。
名前はホン。残念ながら、フェイフォンではなかったです。
洪家拳が船の上での戦いを想定しているからか、戦いは食堂の真ん中に置かれた、白い円卓の上での戦いをします。落ちたら負けです。
激しい戦いの結果、円卓は真ん中から真っ二つにわれてしまいます。ここでホン師匠が拱手をして、
「イップ師匠」
とイップマンを受け入れます。ところが、上納金を納めよ、と言われて、イップマンは
「私の腕が足りないというのなら出すが、私腹を肥やすためのカネなら断る」
と断ってしまいます。
その上納金は、司法を握っている白人に払われるためのものでした。
そのころ、ホンは白人にボクシング大会の運営を頼まれていました。
そのボクシングチャンピオン、ツイスターに中国の武術を馬鹿にされます。
交流を深めるイップマンとホン。互いに尊敬する仲になっていきます。
ホンは名誉のために、チャンピオンとリングで戦います。ところが、戦前から体調を崩していたホンは・・・・・・。
<ここから感想>
3,詠春拳
やはり、イップマンの詠春拳は、無慈悲な外国人相手になると、本気になります。ここが確かにアクションの見所なのですが、話の中心はイップマンとホンの心の交流と、二人の武術にあります。
とくに二人が直接戦うところは、必見です。かっこいい!!!
4,師弟関係
イップマンの癖というのが登場します。
それは困った事態が出来したときです。
椅子に座り、足を組み、煙草を指に挟んだまま、黙考する姿です。丸まった背中が、「やれやれ」と言っているような感じがします。主演のドニー・イェン自身がそれほど背が高くなく、いわゆる細マッチョなので、背を丸めて座ると、本当に困っているような気がしてしまいます。
弟子を入門させるのですが、香港の一番弟子がウォン。
この弟子が困ったもんで、方々で喧嘩をします。
それを聞いたイップマンは、独特の座り方をします。ですが、叱ったりはしません。
そしてその弟子を受け入れ、助け続けます。
弟子は自分の非を受け入れ、ある日、イップマンの家を訪ねてきて、謝罪します。イップマンは嬉しそうにそれを受け入れ、過去にあったおもしろい話を話して聞かせます。
最後、あの人が弟子になりにきます。そのときも、苦笑いをしてあの座り方をします。
5,妻がかわいそう。
こういうことを書くと、ネットでは特に女の人が激怒します。だから書きたくないのですが、ちょっと奥さんが可哀想です。
映画の冒頭から、奥さんは妊娠をしています。
出産間近であるにもかかわらず、イップマンは最後の戦いのために修行に入ります。もちろん、そうせざるを得ない事情はあるのですが、ちょっと可哀想でした。
奥さんは、イップマンが勝負を優先していることを理解し、応援しているのですが、女性にはちょっと反感を買う内容かも知れませんね。
とにかく、冒頭、小学生のころの話をしましたが、今我々が小学生だったら、ドニー・イェンは間違いなく、最強のなかに入ってくる人だと思います。
見ておいて損はないよ。