「SFといえば」ハインラインの「夏への扉」か、「スターウォーズ」だろう。今回は「夏への扉」について書いてみよう。
映画でも、アニメでも、小説でも、漫画でもなんでもいい。何か作品に触れたときに面白いと感じる理由とはなんだろうか。子どもの時には、自分が共感できる人物や物語を「面白い」と感じる。
ハリーポッターが、子どもにとって面白い物語なのは、ハリーポッターの設定が子どもにとって共感するものだからだろう。また、魔法を使うことへの憧れもあるだろう。それは設定に対する共感だ。もっとも、ハリーポッターで描かれている魔法は、ドラクエの方がすごい気がしてしまうのだが。
より大人になっていくと、普遍的なものを求めていくようになる。
が、大人になりきっていない若者が読むのがジュブナイル系の小説である。
本作は、ジュブナイル系の小説だと認識されているSF小説である。
タイムリープが本作の要である。
主人公は、結構な技術者であり、仲間と一緒に会社を興す。
それを仲間と自身の婚約者に裏切られて乗っ取られる。
失意の内に、当時はやり始めていたコールドスリープで愛猫とともに冷凍されて、未来へタイムリープする。
未来へいって復讐をしようと、仲間と婚約者を探すのであるが、仲間は若死にしていて、婚約者は老い、醜くなっていた。
それからも、ゆえあって何度かのタイムリープを繰り返していくのだが、この小説の一番の魅力は、「成長しない」ことである。主人公が精神的に成長するわけでもなく、何かの能力を身につけるわけでもない。どこかで書いたが、それが一番の魅力であったりする。
ジュブナイル小説としての魅力としては、時間を越えて冒険するところだ。しかし、若い頃に成し遂げられなかったことを、自力で成し遂げていくことである。そういった部分ではジュブナイルというか、中年の復讐劇であると、個人的には思ってしまう。
大人になれば君にもわかるだろうけど、人間どこかで公開している部分があるものだ。そんな後悔を、自分のスキルと経験でやり直すというのは、大人が読んでも面白いと思うのだが。
ハインラインは岡田斗司夫じゃないが、さまざまな名作があるらしい。読んでみたいが、足軽仁義シリーズの新作の方が先か。