池波正太郎をめざして

明日は明日の風が吹く

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「自分を本棚の一〇冊の本で表現する」&「人生に影響を与えた一冊」

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 「さかな」から何も浮かばないまさりんです。

 困ったぞ。あの三人に絡めようと考えるからダメなのか。初の全く独立文章を書くか。みなさんは決まりました?

 今回は、今流行りの「自分を本棚の一〇冊の本で表現する」と「人生に影響を与えた一冊」に挑戦します。

 

三国志 吉川英治(写真では宮城谷昌光

 

 

 

 

 

三国志〈第1巻〉 (文春文庫)

三国志〈第1巻〉 (文春文庫)

 

  いちばん上の写真では「宮城谷昌光」の三国志を挙げています。

 これだけ長い物語を読んだのは吉川英治三国志が初めてだと思います。こういう大河小説は肌に合っていたのか、ものすごく面白かったです。でも、政治家や軍人になりたいとは思わなかった。こういうものの見方が好きなんでしょうね。

 特に吉川英治は物語としての魅力が抜群で、完全な悪人もいなければ、完全な善人もいないという書き方が徹底されています。劉備玄徳ですら失敗をし、孔明だって人をだます詐略をするわけです。完璧な曹操だって、老いて判断ミスをする。そういう描き方は人というものの見方を変えた気がします。

 

 ◆一夢庵風流記 隆慶一郎(本当は「花の慶次」)

 

 

一夢庵風流記 (集英社文庫)

一夢庵風流記 (集英社文庫)

 

  これは以前書きました。中高生のときに読んだ作品です。漫画の方ね。

 「自由というのは死と隣り合わせ」という感覚は、「自由こそ正義」だと甘ったれていた若者の頬をピシャリと殴った作品です。死と隣り合わせだからこそ、みっともない生き方をしてはならない。難しいですが。

 だんだん大人になると「普通が一番」とか言い出すのがわかる気がしました。喧嘩も身体も能力も、慶次並みでなければ、自由なんて手に入らないんだな。殊に日本では。

 多くの作品を並べてみてわかったのですが、どうもアウトサイダーが好きなようです。

 

◆こころ 夏目漱石

 

 

こころ (ちくま文庫)

こころ (ちくま文庫)

 

  青空文庫否定派の私は、あえて筑摩書房版を挙げます。プロの創作なんだから、どうどうとただで読まないで、一〇〇円で良いから払え、って思います。

 高校になってから、現代文の小説が多少面白くなりました。それを初めて感じたのは、「羅生門」です。盗人の得物を掠め取るという話が教科書に載っているという衝撃ったらありませんでした。

 そして、面白さのとどめが「こころ」でした。恋に苦悩して果てる青年という設定、将来に対して苦悩するという設定は、ちょっとわかりました。少なくとも、「恋は堕落」というKの感覚は、多くの恋から遠い青年を救ったと思います。

 

◆「日本史講義の実況中継」 菅野祐孝

 

菅野日本史講義の実況中継 上

菅野日本史講義の実況中継 上

 

  古い本なので、受験生は決して買ってはなりません。

 九〇年代中頃から後半、彼の本はバイブルでした。予備校の授業に出ると、必ず、菅野祐孝批判を講師が展開しました。今の日本史で言うならば、必ず司馬遼太郎批判から入るようなものです。

 田舎の高校生だった我々、ネットなどなく、いつでもどこでも予備校の授業画見られなかった我々にとって、予備校の授業はカルチャーショックでした。英語の発音は、予備校の講師でも悪かったと思います。しかし、講師の押し出しの強さ、解説の仕方の合理性は、ちょっと田舎の高校では味わえないものでした。おそらく、今でも私立だろうが、公立だろうが、高校では味わえないでしょう。

 学校だから正解だと思わずに、真贋を見極める必要性、見聞を広めることの楽しさがこの本には詰まっている気がします。

 実況中継シリーズは、授業の講義録であり、その匂いをふんだんに感じることのできるものです。

 

◆愛と幻想のファシズム 村上龍

 

愛と幻想のファシズム(上) (講談社文庫)

愛と幻想のファシズム(上) (講談社文庫)

 
愛と幻想のファシズム(下) (講談社文庫)

愛と幻想のファシズム(下) (講談社文庫)

 

  このタイトルがどこで切れるかで意味が変わってしまいます。といつか書きましたね。内容は、どちらとも取れるのです。「愛のファシズム」、「幻想のファシズム」でもよし。「愛」&「幻想のファシズム」でもよし。個人的には前者の方がいいです。

 「ファシズム」というインパクトの強いタイトルが付いていますが、要するにシステムを描く、という村上龍のテーマの集大成と言っても良い作品です。

 大学入試を終えた私が手に入れた結論が、「日本にはファシズムが必要だ」というものでした。今から二〇年くらい前の話です。まだまだ戦後日本のシステムが色濃く残っている時代で、その当時経済を立て直すには、ファシズムを牽引できるくらいの強力なリーダーが必要だったのです。護送船団方式は無理でした。強力な父権のようなもので、バッサバッサと改革できれば、日本は違う国になっていたかもしれません。私は受験勉強で何をやっていたのでしょう。

 ただ、数年経たずにこれは絶望に変わります。そんなものを担えるリーダーなど、日本には存在しなかったのです。今考えると当たり前ですよね。

 そんな私に一番最初に親友になった男が与えた書が、「愛と幻想のファシズム」でした。むさぼるように読んだなあ。

 

鉄鼠の檻 京極夏彦

 

鉄鼠の檻(1)【電子百鬼夜行】

鉄鼠の檻(1)【電子百鬼夜行】

 

  京極堂シリーズ。「姑獲鳥の夏」「魍魎の匣」「狂骨の夢」と続き、本書「鉄鼠の檻」に続きます。

 箱根の山のうえにある、禅寺で起こる奇っ怪な事件。それを解決する、黒い装束の拝み屋。

 言葉というものがどういうものか、その支配はどこまで及ぶのか。それがわかります。解体、解体、解体、解体、解体・・・・・・。すべてが言葉によってバラバラになっていきます。その緻密さ、精巧さは、きっと手法としては世界を構築してから書いているのでしょうが、筆者も読者と一緒に無垢な世界の解体に挑んでいるかの如く錯覚してしまう、そんな感じがします。世界が解体されるごとに、檻がぐるぐる回る。正が邪になり、邪が正になり。

 手に汗握る、とはこの本のためにあります。

 

◆「照柿」 高村薫

 

照柿〈上〉 (新潮文庫)

照柿〈上〉 (新潮文庫)

 

 

 

照柿〈下〉 (新潮文庫)

照柿〈下〉 (新潮文庫)

 

  「黄金を抱いて飛べ」、「神の火」、「リヴィエラを撃て」、「マークスの山」、などピカレスクロマン(悪人が主役)を書いてきて、個人的にはこのあたりがターニングポイントになっている気がします。

 ファンの間ではそれほど評判が良くないのかもしれません。すかっとしないのです。人物描写が細かくなってきています。しかも、主人公の野田というのは、ごく普通の工員という設定。奥さんが教師というのも普通。野田は奥さんの方が収入が高いということをちょっと恥じています。ただ、奥さんから惚れて結婚しました。ちょっとだけモテるんです。

 この野田、刑事である合田と幼なじみなのですが、美保子というオンナと知り合い、不倫します。美保子と野田は昔つきあっていました。焼け木杭というやつです。それを合田が嫉妬して・・・・・・。ただ、どうしてこうなったのか、と人間関係を考えると説明がつかない。でも、恋愛ってそういうものです。人間の行動には動機というものがあるようでない。それがよく描かれている小説です。

 そんな心情にどきどきしたのを覚えています。

 

アメリカ素描

 

アメリカ素描 (新潮文庫)

アメリカ素描 (新潮文庫)

 

  八〇年代にアメリカに旅に行った経験をもとに書かれた随筆です。

 この当時のアメリカの様子を正確に描写し、しかも、「文明・文化」論を展開します。ものを俯瞰的に考えるというのが苦手だという人は、司馬遼太郎を読むべきです。文章もとってもゆったりとしていて、気持ちいいと思います。

 ちなみに、この旅行中、司馬さんは高熱を発してしまったそうです。ところが、大の医者嫌い。引きずるようにして医者に連れて行って薬を飲ませると、すっかりと完治したそうです。すると「やっぱり医者に言ってよかった」と自発的に行ったように語ったそうです。これは「街道をついてゆく」に書かれていたエピソードだったか。

 

◆箱根の坂 司馬遼太郎

 

新装版 箱根の坂(上) (講談社文庫)
 

  これはいずれ別途書こうと思っていたので、かんたんに。

 北条早雲というと、「戦国時代を始めた人」「野心家」というイメージだと思います。ですが、実際は逆で、たとえばその領国経営は戦国時代を通じて、もっとも民思いでした。そんな人格者として描かれた早雲が良いと思います。

 私は、この本の早雲の生きかたのリズム、テンポというのが、この後自分が目指すべき歩み方だと、読んでいて思いました。決して焦らず、驕らず、いつまでも機を待ち続ける、そんな生き方をするべきなのだとこの本を読んで思いました。今推奨されている生き方とは逆ですね。その逆なのも良いと思います。

 

◆「走ることについて語るときに僕の語ること」 村上春樹

走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)

走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)

 

 

 ジョギングを定期的にやっていて、昨日も走りました。健康のためと思って走っているのですが、実は子供のころから走るのは嫌いです。苦しいからです。

 この本を読んで考えが強まりました。わからないけど、村上春樹って、走るの嫌いなんじゃないかって思うときがあります。オーバーワーク過ぎるんですよね。月三〇〇キロくらい走るでしょ。これたぶん、「楽しいから」を越えている気がするのです。

 なんで走るのか、と村上さんが聞かれたら、「まあ、楽しいと言えば楽しいけど、一番の理由は必要だからかな」とか答えそうな気がします。私見ですけど。

 自分も「必要だから走る」と割り切って走っています。必要以上は走らない。走る必要があるから、楽しめるようにする。そういう風に、逆算的に考えています。

 

 一番最初に影響を受けたのは、「三国志」なのですが、今の自分のスタンスを決めているという意味では一番人生に影響を与えた一冊は「箱根の坂」でしょうかね。一〇冊で納めるというのも、無理がありますよね。でも楽しかったです。

今週のお題「人生に影響を与えた1冊」

 

 

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