今日の十分日記

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原点回帰の雑記ブログ。十分で書ける内容をお届けします。十分以上書くときもあるけどね。十分以下もあるし。

「機動戦士ガンダム the origin」第七話――十分日記261

機動戦士ガンダム THE ORIGIN シャア・セイラ編 IV 運命の前夜

今回のテーマはアムロ・レイの父親テム・レイの気持ちであろう。

ジオンがジオニック社という企業と連携しつつ、秘密裡にモビルスーツを開発している。その技術部門の責任者がミノフスキー博士だ。その弟子がテム・レイで連邦×アナハイムのモビルスーツ開発部門の責任者になっている。

両陣営ともにモビルスーツはロールアウト段階まで来ている。

ジオン×ジオニックの開発中のモビルスーツの映像をテム・レイは見る。テム・レイはもろもろの情報から、またおそらくミノフスキー博士自身の言葉から、自分たちの陣営のモビルスーツが劣っていることを自覚していた。それが、ガンタンクであり、ガンキャノン(この段階では前身)であった。(このあたりもoriginならではの設定だ。原作ではガンダムも含めて同時に開発された三体であったと思う)

外見からはその差がわからないのであるが、皮肉にも実戦でそれは証明されてしまう。

 

ミノフスキー博士は連邦×アナハイム陣営に亡命を決行する。

アニメでははっきりその原因が描かれていない。もしかすると漫画でもそうかもしれない。ジオンの軍国主義を厭うたとも言う。兵器を開発していて? 

その亡命は月で行われていた。

ミノフスキー博士を追うのは、ランバ・ラル、黒い三連星、そして「暁の蜂起」の責任を取って除隊していたシャア・アズナブルであった。搭乗機は旧ザクだと思われる。このころには、シャアの搭乗機はきっちり赤い。赤はおそらく「暁の蜂起」のときに見た朝日をイメージしているのだろう。

 

ミノフスキー博士を擁護する形で連邦×アナハイムのモビルスーツも出撃する。

ここで性能に差がつく。

ガンキャノンぽいモビルスーツは当然、肩に大砲を載せている。それを横一列に並んで長距離からぶっ放す形で戦う。つまりは戦車に近い運用をしている。旧ザクはそれよりも少ない機数でありながら、大砲を掻い潜りながら戦う。本当に人間の兵士のような戦い方をする。懐に潜り込まれた戦車は圧倒的に弱い。また大砲の火力に対抗できるだけの装甲を旧ザクは備えていた。あっというまに旧ザクはガンキャノンを駆逐する。その過程で倒壊するガンキャノンに押しつぶされてミノフスキー博士は死亡する。

 

押しつぶされるミノフスキー博士にテム・レイは思わず手を伸ばす。当然、博士に届くわけはない。この一瞬はテム・レイはミノフスキーを助けようとした。しかし、それが本音であったかというとそれはわからない。

なぜならば、ミノフスキーが連邦×アナハイム陣営にやってくれば、開発責任者としての地位が脅かされることは必至だからだ。それをテム・レイは「それで連邦が勝てれば良しとしよう」という広い心があって是としたのか、それとも受け入れがたいと考えていたのか、それともそれともザク以上のモビルスーツを開発する自信があったのか。

その心情は描かれていない。

 

ちなみにだが、新技術開発の技術者はちょっとタガがはずれているところがある。第二次世界大戦後にV2ロケットを開発した技術者ドルンベルガーは、戦後アメリカでスペースシャトルの基礎になるロケット技術を開発した。このように意地悪な書き方をすれば、自分を高く買ってくれるところに移動して開発を続けるものだ。そこには倫理もなにもない。

 

テム・レイもそうで、お師匠さんがやってくることに違和感はないが、責任者の地位を明け渡して、自分の実績を明け渡す気なんて毛ほどもないだろう。つまり、ザクを超えるモビルスーツの開発に自信をもっていたのである。自分の生み出した子どもに自信を持っていた。だから、ミノフスキー博士がやってきても平気だった。

皮肉なことに、愛息アムロ・レイがそのモビルスーツに搭乗することになる。