今日の十分日記

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原点回帰の雑記ブログ。十分で書ける内容をお届けします。十分以上書くときもあるけどね。十分以下もあるし。

パズルはお得意? ベネディクト・カンバーバッチ主演「イミテーション・ゲーム」を見ました。

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 こんばんは、まさりんです。

 昨日は異様に暖かい一日でした。寝るときに、スウェットの上下を着て寝ていたのですが、起きたら上は脱いでいました。もちろん、Tシャツを着ていましたけれども。風邪をぶり返さなくて良かった。今日は、映画の紹介です。

 

 あなたはパズルが好きだろうか。私はハッキリ言って嫌いだ。麻雀もだめ、オセロもダメ。やっていると、馬鹿になった気がするのだ。どうしてだろ? ただ、小さいころパズルが好きで、パズルを解く能力が、やがて長じてどのような分野につながっていくのかはわかる。

 この映画の主人公は、アラン・チューリングという数学者である。演じているのはベネディクト・カンバーバッチである。ご存じ、BBCのテレビドラマ、「シャーロック」の主人公である。いまイギリスでセクシーだと言われている俳優である。以前ちょっと紹介したが、名門のマンチェスター大学、ロンドン音楽芸術学院で演劇論を学んでいる。

 時代は第二次世界大戦のこと。アラン・チューリングは幼少期から数学に長じていて、パズルを解くのが好きだった。この人物がコンピュータの基礎を作り、いやコンピュータを作り、やがてナチスの「エニグマ」という暗号機と対決し、その原理をコンピュータを使って解読し、やがて連合国軍を勝利に導くというお話だ。

 パズル好きの少年は、幼少期いじめを受けていた。ちょっと変わった少年だったからだ。それを救ったのが、「クリストファー」という少年であった。チューリングは彼と仲良くなったのだが、クリストファーから暗号を解く楽しさを教えられる。そして、最後クリストファーは肺炎で死んでしまう。エニグマと対決するために作ったコンピュータにチューリングは「クリストファー」と名付けた。

 海軍のアラステア・デニストン中佐(チャールズダンス)の面接を受け、チューリングはブレッチリ―・パークでヒュー(マシュー・グッド)、ケアンクロス(アレン・リーチ)、ピーター(マシュー・ビアード)たちとチームになって暗号解読の任務に就く。だが、彼はちょっと変わった思考法を持っていた。なんというか、言葉のあそびの部分が理解できないの。たとえば、「俺たちランチに行くぞ」とケアンクロスにいわれるシーンがある。これは「ランチに行かないか」という意味を含んだ遊びがあるのだが、これを文字通りの意味にしかとれない。

 よくブログ諸氏の話題でも、「理系は論理的」、「文系は情緒的」という話題が出てくるが、実はこれが正体である。理系は論理的なのではなくて、「直線的」なのである。何かを説得しようと思えば、この遊びまでも理解して発言しなくてはならないのだが、それがないのが理系的なのである。もちろん、チューリングは極端な例である。この「言葉の遊びがない」というのが、数学者に向く資質なのである。説明しようと思ったが、めんどうになったからやめよう。高橋洋一という元・大蔵財務官僚であり、経済学者がいるが、彼の話なんかを聞いているとそれがよく分かる。

 ただ、一般人はその多くの子ども時代をこの「遊び」を理解するのに費やす。結果、「遊び」を知らない人間は生理的に受け付けられなくなる。彼がいじめを受けていたのはそれが理由だともいえる。変わった風に見えるのだ。ただ、よくよく話してみれば、言葉の運用方法に違いがあるだけだし、社会にとって実に有用な人材だ。

 この言葉の運用方法の違いが、諸処でトラブルを起こす。彼はエニグマと対峙するためにコンピュータが必要だと考え、その設計図を起こすところから作業を始めるのであるが、コンピュータを作る一〇万ポンドという資金の捻出を、中佐に依頼して断られる。それから、時の首相、ウィンストン・チャーチルに直訴する。すると、チームのリーダーがチューリングになってしまう。そして、その場で二人ほど首にする。このやり方ではチームに反感を買うし、常識的に考えれば、中佐や軍の面目は丸つぶれである。中佐はこのときからチューリングを首にしたがるようになる。

 この状況を打破するのは、首にした二人の代わりに入ってきたジョーン・クラーク(キーラ・ナトレイ)の影響が大きい。チューリングとクラークは一時婚約までするのであるが、クラークがチームの人間とうまくやるコツを教え、緩衝材にもなっていた。彼女はケンブリッジ大学の出身で、数学の才能があった。だが、まだ公民権運動も起こっていない時期で、「女性である」という一点で不遇な目に遭う。親の理解も得られなかった。

 

 さて、みなさんの予想通り、チームはエニグマに勝つ。だが、勝ったことをナチスに知られると対策を打たれることになる。それを回避するために。

 戦後、すべての仕事を破棄することをチームは命じられる。数年後、チューリングはクラークと再会する。チューリングは今では考えられないような罪で、服薬することを命じられ、そのせいで能力が著しく衰えていた。翌年自殺する。

 二〇一三年、恩赦されるまで彼は秘密によって犯罪者として扱われていた。その名誉がこの年に回復する。本当に今となっては、これが罪になるというのは信じられないが、以前先々代の都知事なんかが、このことについて非常に差別的な発言をした。今でも差別的な意識が残っているのは間違いがない。

 チューリングが生きていれば、研究だけでなく、後進育成にも非常に大きな貢献をしたのではないかと思う。それくらい研究の面でも活躍した人らしい。大英帝国勲章も授与されている。

 タイトルである、「イミテーション・ゲーム」とは、人工知能を判別するためのゲームである。人間と人工知能が会話して、機械だと分からないくらい自然になれば、それは機械ではなく、思考しているといえるという実験を指す。チューリングが考えた実験だ。

 ちなみに映画のなかでもチューリングがよく走っているシーンがあったが、本当にチューリングは長距離走が得意だったそうだ。

 

 この映画の見所は、サスペンス性と悲劇性に加えて、チューリングのキャラクターと、ベネディクト・カンバーバッチの演技にあると個人的に思う。米タイム誌による「二〇一四年俳優が選ぶ演技トップ10」で本作での演技は堂々の一位であった。おもしろいので見られたし。

 

 

 

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