池波正太郎をめざして

明日は明日の風が吹く

今の心境にあわせてブログ名を変更しました。どうぞよろしく。肩の力をさらに抜いてやります。

第七回 文章スケッチ。課題は「時計」。

 

 まさりんです。

 要項にはなかったけれども、たぶん文章スケッチの締め切りは今日ですね。主催者様、よろしくお願いします。今回は短めです。

novelcluster.hatenablog.jp

 

 その時計は業者からもらった時計だ。「〇〇工務店」というロゴが文字盤の中央の軸の下に書いてあった。

 その時計は居間にあった。六畳半の居間の外向きの壁の誰も届かないくらい上の方に、かかっていた。年末の大掃除のときに、軽くはたきをかけるくらいで、基本的に時計は備え付けられたままで、いじらなかった。脳卒中をやって足を引きずるようになった祖父がよく腰掛ける、椅子代わりの備え付けの棚がその壁の方にはあった。その棚の脇にある柱を上にたどっていくとその時計があった。

 その時計の周りには、家族や親戚一同が集まった。客間は他にあった。冬など、客間の方が、日が当たるので暖かいのであるが、皆居間に集った。外から見えにくい場所にあるので、みな落ち着いた。兼業農家であるので、野良仕事は親戚総出でやるのだが、

 その時計は家族の行動の起点になっていた。四角い積み木を無造作に並べたような、デコボコとした枠に丸い時刻表示の部分がはまっていた。アナログ時計で、文字盤は白く、時刻は黒い数字で書かれていた。居間でくつろぐ家族は必ず、その時計を見て行動を開始する。朝出かけるとき、昼の準備をするとき、夕食の買い物をするとき、みなその時計をあてにした。

 その時計は時刻が来ても何も起こらなかった。他の部屋の時計はチャイムが鳴り、飾りが回ったりしたが、この時計は何も起こらなかった。

 その時計は狂うことがなかった。何十年もそこにあるのに、電池交換をしたことがあるが、時刻調整はしたことがなかった。

 その時計は一度だけ時間が狂っているように感じさせた日がある。それは家の娘が結婚式を挙げた日。家族が帰ってきて居間でくつろいでいたとき。

 ーー了ーー (六九三文字)←word調べ。

 淡々とやるさ。

 

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