昨日の夜だった。
頭上円形に配置された照明灯が見える。手術台の上にいるらしい。身体は動かない。ということは、視界も動かせない。なすがまま、ということだ。
円形の照明灯と手術台を挟むように二人の人物。一人は小太り、一人は小柄だ。二人はいわゆる緑色の手術着を着て、頭に紙の帽子を被っている。。
――もうすぐこの人死ぬで~。はい、30,29,28・・・・・・。
小太りの男が言う。こちらを見ずに、私の足下の方にある銀色のワゴンの上の器具を確認しながら。
ちらっと見えたその顔は笑福亭鶴瓶だ。
どうやら私は死ぬらしい。進むカウントを聞いていると死ぬのだという実感が身体を満たした。呼吸は苦しく、浅くなり、まぶたが重くなった。
死ぬときってのは、案外こんなものなのだな。そう思っていると、右側から横顔がぬっと視界に突き出てきた。オールバックの小柄の男は、小太りの男を見ながら、
――これあれですよね。死んだら顔の皮剥ぐんですよね。
と上長におうかがいを立てた。
――せやろな。デスマスク作らな、あかんから。
部下はタモリだった。
そうか、デスマスクって顔の皮剥いで作るんだ。
急に怖くなった。顔の皮はぐって大丈夫か。死んじゃったら関係ないか。苦笑いをかみ殺した。死ぬのに元気だったら、がっかりされそうだったからだ。
そう思ったら目が覚めた。