今日の十分日記

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原点回帰の雑記ブログ。十分で書ける内容をお届けします。十分以上書くときもあるけどね。十分以下もあるし。

夏の宿題消化シリーズ「第十回 短編小説の集い」感想

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 今日は中途半端に暑いですね。まさりんです。

 秋の気配というやつですかね。

 秋の気配を感じるとなにかやり残したことがあるような思いにかられます。夏の恋はちょっと遅すぎ。夏の目標ならまだギリギリ間に合う。ということで、これからいくつか夏の課題を消化します。

 

 

 第十回 短編小説の集い 感想

 今回は若干少なめの参加でした。しかし、いつもながら質は高いものが揃っています。旅もストレートな旅から、いろいろな解釈がそろって、読んでいて楽しかったです。それでは感想を。

 

novels.hatenadiary.com

 

ひみつの花園

 このお話は「旅」そのもののお話です。

 急転直下、いきなり亜由子の運命は暗転します。といいたいところですが、実はこの話、「プロチュア」を辞めたときから人生は暗転しています。ちょっと亜由子の考え方には甘い所があるように思えます。この企業がブラックであるかどうかは議論の予知があります。が、「心身ともに疲れ切」ってしまったんだから、向いていない仕事ではあったのでしょう。甘い部分があったので、初対面の人のことも信用してしまうのでしょう。確かに「綺麗な景色がある」くらいのことなら信用してしまうでしょうけど。因果関係に無理がなくて、どう転がっていくのかハラハラしてしまいました。展開がとてもうまいと思います。

 この「甘い」という人物設定だけで進めているんですよね。「絶対後悔してはだめだよ」と言われて、「なぜ」と思わない。後悔してはいけないよ、ひみつだからね。というのは、堂々巡りですよね。堪能させてもらいました。

 

literary-ace.hatenablog.jp

 

「逆向き列車」

 このお話は「旅の動機」がテーマです。

 やはり、律儀に「休みますメール」を送ってしまうんですね。悲しい性ですね。たぶん、押しつけて良い人間だから上司は科を押しつけているわけです。もっと言ってしまえば、ちょっと旅行して帰ってきて、また会社に来るというところまで、見切られているわけです。この「休みますメール」を出すという行為にそれがすべて含まれているわけです。お見事ですね。性格は行動に出るのです。感情や言葉には出ない。面白いですね。

 それにしてもこの上司、食えないですね。どうすればいいのかな。完全に指示待ちしてしまうか、手っ取り早いのは弱みを握ることでしょうね。こういう上司は弱みはたくさんあると思います。どうでもいいですね。

 どこにいくんでしょうね。結局。

 

kalkwater.hatenablog.com

 

「此方彼方を分かつ影」

 このお話は「内省の旅」でいいのかな。

 もう少し、影に入ったときの感覚の描写があると良いと思います。ただ、それを見た者が一様に変な改心をしているところからすると、自分の痛い所を探られるのでしょうか。しかし「彼方」ですよね。普通は「死者の国」です。彼岸のことですよね。うーん。一体どんなことが起こっているんでしょう。

 これは連作になっていると思うのです。いずれ触れるのだと思いますが、この文明世界はいったいどうして滅びてしまったのか。書いてあったでしょうか。もう一度読み返してみましょう。

 

yama-aki1025.hatenablog.com

 

トラベラー

これは「旅の誘惑」の話です。

おそらく五〇代の男性が、「死出の旅」に誘われるという話です。誘ってくるのは、「アラタ」という人物です。通常、死ぬのはいやです。けれども、この「死」はちょっと魅力があります。ただし、本当ならば、です。

ここでの「死」は輪廻するという前提の「死」です。だから、生き返るというのを約束されます。それにこの男性には受け容れたくなる要素が沢山ある。仕事では失敗し、今の仕事は不安定な仕事にシフトチェンジ。母親は要介護状態。ちょっと厭世的になってしまう気持ちもわかります。

結局主人公は公園に行きました。死ぬ気だったのでしょう。人が生きる意味、目的、など様々なテーマが入っている話です。考えてしまいました。

 

chihiron-novel.hatenablog.com

 

 

chihiron-novel.hatenablog.com

 

「風の鳥」A・B面

 いま主催者ゼロ助のブログをチェックしたら、やっぱりこれは一つの作品を1万字で書いたという認識なんですね(^_^;) まあ、ご愛敬ということで。

 どこかのお話で冒頭の部分と似た話を聞きました。ある城に住む美しい王女を見たいがために、戦争が起こります。見たいと考えている側の王が勝ち、敗者の王に頼みます。「一目王女を見せて欲しい」と。王女に聞くと(この話と違って、人と会わないのは王女の意思です)、王女は許諾します。そして、湖の上に立つ建物から、湖面に映る自分の姿を、勝った王に見せるのです。インドの話だったかな。その話を思い出しました。

 お嬢様は自分の駕籠から飛び出して旅に出ます。でも、自分のなかにある「普通」を覆すというのは恐ろしく難しい作業です。まずは自分が「普通」に浸されていると認識するのも難しいです。ここでいえば、小さい頃からシェリーは閉じ込められた生活をしている。それが「普通」です。これが「外を知ることができない」というストレスから飛び出したくなる。「普通」が普通でないと気づいてしまうのですね。通常、ここで「普通」にとどまるんでしょう。ここで飛び出してしまうのが、若さなのか、育ちの良さなのか。そこが面白いなと思いました。

 

lfk.hatenablog.com

 

「全然変わっていない」

 この話は「旅」そのものの話。

 まず、ユーロ、紛争と来ているので、目的地はウクライナなのかな、と思いました。世界中に紛争があるのだし、言い切れないけど。

 我々が旅の話で期待することは、「旅の目的と目的の理由」、「旅の途中での出来事」、「旅で訪れた場所の情報」が基本だと思います。ただ、この話のように目的地がウクライナ(だとして)としか、旅の目的が示されていない場合、やはり旅人の人間をよみたいのだとおもいます。ほとんど「職業」として旅をする人というのもいます。戦場カメラマンだったり、ジャーナリストだったり。でも、完全にただ旅をする人というのも存在します。この主人公はそのような匂いがします。そうすると、我々のように移動し続ける人生というのを送っていない人からすれば、どうしてそういう人生を送ろうと思ったのか、それが気になります。

 この文章から、なぜか感じた答えは、「シンプルに生きたいから」というものでした。ぐちゃぐちゃ考えずに、その日をどうやって生きるかだけを考えなければならない生き方。それを良しとしているのだな、と感じました。

 

kyoukonogokoro.hatenablog.com

 

「里の掟」

 これは「旅がもたらした心境の変化」でしょうか。

 里の掟に従って暮らしている李里(「里のすもも」の意?)。なんとなく、「大婆様」という存在が、最後に火を消す役割をしていることから、女系の里なのかもしれません。男系なら、呪術を使うのも、おそらく男性の仕事になるでしょうから。

 この里を飛び出すことが一つの旅なのでしょう。だから、冒頭ではより遠くまでお使いで行ける男の子のことをうらやましいと思っています。

 李里が勘違いしていることがあります。麓の村に住んでいる環那にとって、山の奥にある里の人々がどんな人々なのか、公然の秘密として知っているのだと思います。だから、李里が嫌われるのだと冒頭で思っているのは杞憂です。

 李里は結界のなかにいるような生活からちょっとだけ旅に出るわけです。旅で出会った人が環那なわけです。特に火事という事件を通じて、李里の杞憂がとけて、環那と真の友人になったわけです。最後には環那にあうことが楽しみになるくらいまで、心境が変化しています。旅に見えないようで、きちんと旅の話になっているのに、感心しました。(※ここでお名前を間違えるという痛恨のミスをしてしまいました。訂正します。失礼しました)

 「みどりという名の世界」「これが私の歩く道」「ナガレオチルモノ」と秋桜さんのお話は基本的に旅の匂いのするお話が多いです。今回の「旅」というテーマは秋桜さんが得意とする分野だったのではないかと思います。ちょっとひねった形になったのも、得意だったからでしょう。とてもおもしろかったです。

 

fnoithunder.hatenablog.com

 

「観光車掌のお仕事」

 このお話は「任務の旅」の話です。

前回のバイクの話につづいて参加ですね。マラッカ海峡というと、海賊というイメージです。確かにあそこを通るタンカーなんかが拉致されるなんて事件があったような、どうも記憶が曖昧ですが。でも、そこをおさえられると日本が困るのは間違いない。始めは海賊退治の話かと思いました。しかし、そうではない。そこを占領したがっている輩がいるんですね。

もっと長くする方法を考えました。きっと百田尚樹が書くと、「実はこの時点で先輩は死んでいて、先輩を偲んで、マラッカ海峡まで初美は旅に出る」という内容でしょうか。どちらにせよ、続篇が書けそうな設定ですよね。シンプルな展開の強さでしょう。あまりに凝ったものにしてしまうと、そこから続篇は書けないですからね。

 

 

hayami-toyuki.hatenablog.com

「お母さんを慰めに行く旅」です。

 個人的にはこのお話のように、肝心な所を話さずに引っぱっていく展開が好きです。読者はその肝心な点がなんであるのか、想像し続けることになるからです。そういう風に本を読んでいくのはとても楽しいです。あくまでも「結論から書く」のはビジネス系の文章ですからね。

でも紙数の問題か、最後までお母さんの状態が明かされることがありませんでした。その点は残念でした。でも短篇だということを考えれば、そのほうがすっきりしていていいのかもしれません。夏に子どもに限らず、大人でも、ちょっと知らない所へ行こうと思うと大抵このように迷ってしまうんですよね。スマホが上手に使えない子ども、という設定が、迷子になる必然性を作れるというのもうまいと思いました。

sakuramizuki20.hatenablog.com

「リンゴ飴と仲間を探す旅のこと」

 「仲間を探す旅の旅立ち」のお話です。

 なぜ日本人は「失われた種族」のようなものに郷愁が沸いてしまうのか、考えていました。自分の失われた幼少期を思うのか、それとも「影」のようなものでしょうか。妖怪とか学校の怪談などは、社会や組織においてのストレスがそこにいくとか云々かんぬん。

 どうでもいいですね。まさか、天狗とは思いませんでした。女の子も日本人とは。後書きにありましたが、勝手に「ゴブリンとヨーロッパの女の子」を想像していました。途中で変更できずに最後までゴブリンで通しておきました。「両親と焼き肉に行く」、のあたりで女の子は金髪にした日本人にしないと違和感が出てしまい変えました。

 最後は一緒にマナも旅に行くのかなと思いましたが、それはありませんでした。マナは何歳くらいなのだろうか、意外と小さいのかなと思いました。旅のマナーとしては、付いていかない方が良いんですかね。

hjsmh.hateblo.jp

夏の月夜に

 「旅の決意」のお話。

古びていて、主人公と少し距離のできている市営住宅とそこに住んでいた記憶を呼び起す作業を丹念に描写しています。

月の誘惑でしょうか。おかあさんに「誰かいい人いないの」と聞くくだりは、絶対自分にはできないことだろうなと思いました。息子が母親に聞くのはね。娘さんだとできてしまうんでしょうか。相手が父親であっても、両親にそういうの言うのって照れくさいよね。実に孝行者なんですけどね。

とても綺麗な小説だと思いました。

 

nisinao.hatenablog.com

 

旅の記憶

 「代理旅行」のお話?

 どう発想したお話なんでしょうか。「ミギー」でしょうか。謎が謎を呼ぶお話です。旅好きといっても、こういう形で満足するのかな、とか。この少女はどうしてこの状態を受け容れることになったのか。年齢が離れている二人が、友人になった経緯とか。突如現われる「基盤」。

 でも、全てが事実であると考えると、別に話として破綻しているわけではない。妙な矛盾があるわけではないのです。それがとても不思議だと思いました。

 とブログを繰ってみると出てきました。「桜の木の下の世界」・・・・・・。ちょっと納得しました。始めに瞼をなぞっていく描写に力を入れている理由もよく分かりました。とても幻惑的な場面で良いと思いました。

 

nogreenplace.hateblo.jp

 

スーツケースに詰め込んで

「こころの旅」?

 結局「あたしのやりたいようにやるし」って言っている若者って、やりたいことなんてないんですよね。やりたいことがあって、純粋にそこに向かっている若者って、特に最近は大人から白い目で見られないですよ。だって、正解がわからないから。でもやりたいことがないのなら、勉強はやった方が良いと思いますね。

 カッコはどちらかというと、勉強が嫌だというか、友だちのように輝けない自分が情けなくて仕方がないのだと思います。そんな自分を認めたくないし、これ以上泥沼にはまるのが恐いという思いがあるのでしょう。家でなんかする気がない。だって、周りに知らせる家出ってないよね。しかし、おそらく一時間以内に、開き直りに成功しています。若いって素晴らしいよね。今の自分だと、おそらく一晩はかかるでしょう。

 自分の気持ちを言語化するというのは実に難しい作業で、大人でもなかなかできない。カッコはなにかを学んだと思います。

 

 以上、感想でした。次回も頑張りましょう。

 

 

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