前回は、Pythonの学習をしていて、新しい学び方の威力について考えさせられた、という内容の記事を書きました。
それは、ウェブを使った自走式の学習です。
スタートとゴールは自分で設定して、そこにどう到達するかは、ネットを片手に学習していくというスタイルです。
ネットの情報というのは、それに適した形で細切れになっていたほうが結局は扱いやすいとも書きました。
例えば、古文を訳すとします。
「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとて、するなり」
という一文があります。ご存知、土佐物語の「馬のはなむけ」の冒頭文です。
古典の知識があれば、
「男もするという、日記というものを女もしてみようとしているのです」
と正確ではないにせよ、訳すことができます。
ところが、古典的な知識がないと、「すなる」、「いふ」でひっかかり、「みむ」もわからないでしょう。
それに著者が「紀貫之」という男の名前なのに、どうして女なんだ、と細かく引っかかることでしょう。
また「土佐日記」とは?
「はなむけ」?
何も知らない人間にはわからないですよね。
これをネットを使って一つ一つ調べていきます。
知っている人間はこの作業をする必要がありません。
知っている人間は、自分に必要な情報をかき集めるという訓練をし損ねたとも言えます。
これからは一生涯、なにかしらの勉強をし続けなければならない時代です。それもいちいちそれをどこかセミナーまで通って習うというのは、コストも時間もしんどい。それをネットは一気に解決してしまうのです。
なんだか、数十年前に聞いた話ですね。
でも、プログラミングはいざ知らず、他の分野でも、やっと本格的にそういう時代に入りそうな気配です。
それを一気に加速させるのが、学校で導入されるアクティブ・ラーニングです。
アクティブ・ラーニングは型がありません。班でもよし、二人でもよし。
「協働作業」というのがテーマになっていたりして、そこがメインであるように書かれていますが、それも違うかもしれません。
今書いてきたことがメインである気がします。
知らないことを徹底的に調べて解決する。
自力で学習する。これがメインである気がします。
班で行うにしても、それはできる人間がリードして解決していくのではなく、とにかくできない人間の疑問を解決していく。それが重要なのです。
つまりは、「疑問を出す」。そして、それを徹底的に調べて解決する。話し合って解決する。「自力で学習する」ことの要は、「調べる」そして、「疑問点を洗い出す」ということだと思うのです。
今までは予習で、自分で「調べ」て、「予め知っている」ことが学習でした。
そして集団で教師の授業を聞いて、それを復習で「覚える」。
それが学習でした。
これからの授業の主役は、「調べる」機会を皆に与える、「疑問点を洗い出す」ことのできる生徒だと感じました。
はじめ、「アクティブ・ラーニングは、予備校などいいっていて、『予め知っている』生徒が同じ班に集まったらそこが一番になるじゃないか」と思っていました。
違うんですね。勉強ができない人間が主役です。なにも知らない彼、彼女の疑問をどんどん解決する形で学習をスタートします。やがて誰もが知らない疑問点が皆から提出され、それを解決していく。「協働作業」でみなが同じだけの情報を持っていなければゴールじゃない。
教師の出番がないじゃないか。
いや違います。
班の皆が調べられない問題を設定することや、全体の学習状況をコントロールすることが仕事です。また、授業中に疑問に思うことを聞くというのも仕事です。
なにが出てくるか分からない分、今までの教師よりも知識量が多くないとできないかもしれませんね。
教室の主人公が変わる瞬間が来ていると思ったら、妙にわくわくしました。
常々、勉強はできない教科こそやったほうがいいと思っていました。
勉強ができない人間こそ、主人公になる。
この勉強方法が分かっていると、新型コロナウイルスで学校に行っていなくても、勉強は可能です。逆に調べ学習の訓練ができますね。
もしかすると、推薦が拡張されるかもしれませんね。
しかし、この大臣の言うことは二転三転します。信用できませんね。勉強しておきましょう。
各予備校とも、「受験が大変更になる」とは書いていません。なんらかの措置が執られる可能性もありますが、騒動が大きくなってきた三月でも、国立の後期試験は行われました。今年もこのまま受験に突入する可能性もあります。
情報に注意しながらも、学習を進めるべきでしょうね。
自力学習のチャンスです。
絶対に将来に役に立つスキルです。
今書いたことができれば、学習を自力で進めることができます。ネットを使って調べまくって学習してみましょう。ライバルが油断している今こそチャンスですよ!
受験生に幸あれ!!