よく、「携帯電話の出現をSF作家は予知できなかった」と言われる。インターネットに近いものの予知はできたのだろうか。それはわからない。
「携帯の出現」を予知できなかった理由は様々あると思うが、一つの理由は出現して欲しくなかったからだろう。
「誰とでも、いつでも、連絡がつく未来」
そんなもの死んでも来て欲しくなかったのかもしれない。
なぜなら「締め切り」もいつでもそばについてくるからだ。
デジタルネイティブという言葉がある。生まれて物心がついたころにはコンピューターが身近にある世代だ。今の三〇代半ばより若ければみんな世代的にはそうなるのではないか。
上記の「SF作家の悪夢」にてらしていえば、デジタルネイティブとは「デジタル機器に管理されることを受け入れている世代」と言い換えることができる。
「デジタル機器を柔軟に操れる世代」は我々40代だってそうだろう。もう少し上になってくると怪しくなってくるが。我々はファミコン世代なのである(なつかしい)。
ただ、そのデジタルネイティブ世代がデジタル機器の管理を拒否しているという話を最近聞いた。自分達が持っているものが、「いつでもどこでも連絡を取る」を拒否して、現場が大混乱になったという話だ。
もう、ラインでもメールでも、「今が危機状態なのだ」という連絡を先輩が出しまくったらしいが、無視を決め込んだらしい。ひとりならず、幾人かいたらしい。
デジタルネイティブ世代という言葉は、割と幻想だ。
世代が全部、そういう状態になるとは限らないのである。