今日の十分日記

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原点回帰の雑記ブログ。十分で書ける内容をお届けします。十分以上書くときもあるけどね。十分以下もあるし。

「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話 」 感想

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 まさりんです。
 
 坪田信貴氏を取り上げた情熱大陸について先日感想を書きました。

 

 以前から平積みになっていた氏の著書に興味は持っていました。しかし、なかなか手が出ずに読むのを保留していました。今回ブログで取り上げたのを縁に、読んでみようと思いました。
 今回のレビューを書くに当って、アマゾンのレビューを読んでみました。少々、的外れなレビューもあったような気がしました。概略を書くと以上になります。
 ・もともと地頭が良いのではないか?
 ・学習方法が初歩的。
 ・表紙が虚偽表示
 以上三点だと思います。三番目はとっとと処理。当たり前じゃないか。もう受験が終わった後の話なんだから、ここまで制服が似合うわけないじゃないか。モデルでもなければ。
 昔とある女の子が、大学一年生になったとたん「私も歳くった」と連呼していたのを思い出します。制服なんてものは卒業すると急速に似合わなくなるものです。本人なわけがないでしょう。「この表紙の女の子が受験する話だと思った」と思ってても、普通かけないですよね。
 今回はこのレビューに反論していく形で、この本を紹介したいと思います。
 
1,あらすじ
 ・どんなギャルか
  本書の主人公はさやかちゃんという女子高校です。
 「ここに入ると大学まで勉強する必要が無い」という、ちょっと間違った不純な動機で中高一貫進学校を選びました。そして、入学後は力の限り遊びます。そのおかげで、入塾した時点で偏差値が三〇台になってしまいます。これを一年間で逆転していくのです。
 
 この凄まじさを何か別のものに喩えたいのですが、それがうまくできない。営業成績ビリの営業マンが一発逆転で日本一の売り上げを上げる。ちょっと弱い。
 高校三年までまるで運動をしていなかった人間が、大学入学後にオリンピックを目指し陸上競技を始める。近いけど、現実味がなさ過ぎる。
 ご批判を承知で書くと、川内優輝さんかなと思いましたが、彼は大学で箱根駅伝に出場している選手でした。
 偉業とは言い難いですが、偏差値を四〇上げるというのは結構凄まじいことです。
 
 アマゾンのレビューでは「もともと地頭が良かったんじゃないか。だから中高一貫校にいけたんだし」というようなレビューがありました。そりゃそうでしょ。ある程度の知力がなければ、慶応には受かりません。と言いたいですが、なんらかの明らかな身体的な問題が無ければ、知力的にはそんなに高くなくとも出来ると思います。ただ、坪田先生ご自身が「この子は地頭、勘が良い」と考えていたようです。
 
 もっと大きいは他の要素です。継続力と集中力。つまり、「しつこさ」が必要だと思います。先日、浪人をしてしまった知人の息子さんと話す機会がありました。ちなみに今は浪人生の数は少数になって来たようです。そりゃ全入時代ですからね。
 その若者に「なぜ高校時代に勉強しなかったのか」と質問をしました。結構禁句ですが、情緒的に安定しているようなので思い切って聞いてみました。
 「いや一年生のときは自分なりにがんばっていたんだけど、高校二年でサボり始めると、もう苦しくてできなくなっちゃったんだ」という話でした。また、「夢というか、勉強をする動機のようなものが自分のなかで発見できなかった」とも話していました。
 
 つまり、勉強を実際にするというのは結構大変な作業です。上記の知り合いの話と今回の話、自己の体験などを総合すると以下の条件があるように思います。
 ・大学に行くだけの動機がある
 ・学習に集中する環境が整っている(学校の人間関係、家庭の人間関係が安定していること、特に最近は母との関係が重要)
 最低限、この二つがそろわないと、学習に集中できません。
 
 本書でさやかちゃんの家庭の話が頻繁に登場します。彼女の場合、母(ああちゃん)との関係が理想的に安定していることが一番の有利な点だと思いました。
 
 学習に対する態度
 高校二年の夏から彼女は本格的に学習を始めます。知識レベルとしては以下のようでした。
 ・聖徳太子→「しょうとく・たこ」→「かわいそう。超太ってたからこんな名前突いちゃったんだ」
 ・平安京→「へいあんきょうって誰?」→「ああ、そうかイイクニツクロウの人だ」
 ・サザンが?(3×3)→「そういう言い方だとさやかほんと無理なんだよね
 女子あるあるですが、日本史になると特にできないという人は多いです。しかし、さやかちゃんは「わかりません」と言って頬を赤らめて下を向いている、というタイプではないというのが伸びた一つの理由かもしれません。負けず嫌いなのでしょう。すっとんきょうでも答えをひねり出そうという意思があります。
 ただ、学習開始時点の状況を普通の学校や塾の先生が聞くと絶望的な気分になったと思います。坪田先生はあきらめませんでしたが。これまでの経験から自信を持っていたのかもしれません。
 
 家庭の話や学校の話を聞き、問題がありできうるならば解決策を提示して、また頻繁に登場する生徒いじりを通じて、坪田先生はさやかちゃんの信頼を勝ち取っていきます。
 
「坪田先生は、初対面時からよく笑う方でした。私が何気なく言った一言でも、よく笑う。“よく笑う人だな、何がおもしろいんだ?”と思いましたが、何だか楽しくなってきて、“また来てもいいかなー”と思ったんです。それが始まり。
 何かをさわりだけ、ちょっとだけ教わった時に、“この人の説明、すごくわかりやすいな”と。信用できるな、信用できるな、とまでは思わなかったんですが、単純に“この人ともっと話したいな”と思ったんです。で、行ってやってもいいか、と」
 
「普通の先生は、“なんでこんなことも、わからないんだ?”とシブい顔をするのに、坪田先生は、“こんなに無知で、今までそうやって生きてきたの? 天才だね! 君は無知族の酋長だね!”とほめてくれました。」

 

 
 普通の先生と坪田先生は同じようなことを言っているように感じるはずです。しかし、言う人によって響き方が違うわけです。もうこの段階になるとかなり信頼を勝ち取っていると言えます。
 
 なんか中学校に頃に行っていた塾や学校の授業を思い出しました。
 ちっちゃな塾でした。
 先生方が皆ユニークで、ゲタゲタ笑いながら授業を受けていました。
 楽しい方がいいですよね。小学校の段階で苦手だった算数もきっちりできるようになったしね。
 
 そうすると、さやかちゃんは坪田先生の要求を強引にでもこなすようになります。このあたりが性格ですね。
 高2の夏休みは、徹夜で遊んでから塾に行くという生活を送ります。そのうち、予習をオールで遊んでいるカラオケボックスでこなすようになります。学校が始まってからも同様な生活をします。平均睡眠時間は五時間。予習復習を確実こなし、ていきます。学校の授業はそのうち退屈なものになっていきます。大学にエスカレーター式に進学するクラスだったで(ちなみにその推薦すらもらえないかもしれないというほど、さやかちゃんは劣等生でした)、みんな勉強をしないのです。定期考査も楽勝でこなせるようになります。
 その授業をさやかちゃんは休息の場にあてます。ずっと寝てるのです。
  
 受験はすべての人が全力で走っている状態です。
 そこで他人を抜くというのはこれくらいやらないとだめなんです。
 楽な方法はとりあえず発見されていません。
 そこで坪田先生のように伴走してくれる人がいるから、諦めずに頑張れるのだと思います。詳しいことは本を読んでね。
 
2,学習方法について
 アマゾンのレビューでは、学習方法を「ドラゴン桜」と比べているものが見受けられました。私はドラゴン桜を今のところ読む気は無いので、比較はしません。
 一応知っているのは、「英語は基礎英文を100くらい覚える」というのと、「数学は筋トレのようにやる」でしたっけ。数学は正しいと思います。ただ、何を筋トレのメニューにするのかは知りません。英語もまさかこれだけやるわけじゃないでしょうしね。
 本書に載っている学習方法は小論文をのぞいて、非常に合理的なことを書いてらっしゃると思いました。
 英語は結局基礎レベルは五文型を極めることが大切だということが書いてありました。これは文法問題や長文問題をこなす前にやっておくべき、基礎の基礎で、これをマスターして勉強すると、成果が早く出ると思います。
 昔河合塾で「基礎貫徹英語講座」というのがありました。その内容を思い出しました。夏期講習(取るのが大変)を取ったのですが、一週間、ひとつの長文だけを徹底的に読み込み、この五文型を徹底的にしこまれました。これで英語の勉強がとても楽になったのを憶えています。
 実際にこの学習方法をしていない人には、「なんてオーソドックスな」という学習方法に見えるのではないでしょうか。学習方法というのは年々更新されていきます。知り合いの国語教師は言っていました。もしかすると出口式の現代文解法はもう通用しないかもしれない、と。大学側だって、「この解き方がいい」という評判が立てば、それを回避する問題を用意するに決まっています。そうやって年々学習方法などは更新していきます。
 結局決定打になるものがないということなのかもしれません。ならば、反転してもっとも確実な学習方法はオーソドックスな解法です。
 ただ、それをやり続けるには、粘り強さや家庭環境など、必須の条件があるのです。教育とはそれを補完する方法が理想的なのだと思います。坪田式はそれに近いのだと思います。
 もっとも、ドラゴン桜もきちんと読めば、「そのとおり」という方法が書いてあるのかもしれません。ただ、そのときはケレンの強い方法と言うよりは、オーソドックスな方法とそれをやり続ける支えが書かれているのだと思います。
 
3,まとめ
 この本を読んで一つだけ不満があります。
 それはさやかちゃんが慶応に入って卒業したあとも、学習を続けているかということがわからないということです。確か、ウェディング関係の仕事に就いていたのだと思います。
 どんな職業であっても、常に情報を入れて、自己を高めていくような人物が求められていると思います。そのためには常に学ぶ姿勢が大切です。
 学生時代にその能力を磨くわけですが、さやかちゃんのようなやり方をして、勉強が嫌いにならなければいいなと、読み終わった後に感じました。これからは大学入学がゴールではありませんから。
 
 長くなってしまいましたが、最後までお読みくださりありがとうございます。
 このレビューで書かれた内容は、本書のほんの一部です。実際にお読みになれば、新たな発見があると思います。是非お読みください。
 
 まさりんでした。

 

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