今日の十分日記

今日の十分日記

原点回帰の雑記ブログ。十分で書ける内容をお届けします。十分以上書くときもあるけどね。十分以下もあるし。

実際に見ておきたいもの。

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 まさりんです。

 今日は東京上野の国立博物館で開催されている、「ほほえみの御仏ー二つの半跏思惟像-」を紹介します。

1,混雑状況

 私が行ったのは、六月二四日(あのEUからイギリスが離脱することが決定した日)の昼過ぎでした。

 この特別展はたぶん混雑回避のためだと思いますが、有料部分は半跏思惟像だけなんです。国立博物館の本館のエントランスに入ると正面には大きな階段があって、階段の左側が入り口、右側が出口です。入ると、広めの展示室があって、壁には解説、中央には向かい合うように、日本と韓国の半跏思惟像が並んでいます。

 シンプルな展示になっているので、あまり混んでいるということがなかったです。付属して関連資料をバンバン展示していると、混んだかもしれません。ただ、やはり夕方に向けて、人の量は増えていった気がします。混雑状況はやはり二五日の土曜日は混んでいたようです。

 できれば、休日は避けたいです。夜は二〇時まで(入館は一九時半)やっているので。でもどうしても休日という方は、午前中が良いでしょう。

 

2,半跏思惟像は飛鳥時代の代表的な仏像。ここ試験に出るぞ。

 半跏とは「半跏趺坐」の略です。足を膝のうえに乗せる格好のことを指します。逆に結跏趺坐はいわゆる座禅のポーズです。この二つの仏像は、椅子に座り、足を半跏の状態にし、右手を頬に当てて、思惟をしている。思惟とは「深く考えること」です。

 ちなみに、この仏像の名前の呼び方は、「はんか『しゆい』ぞう」。広辞苑は「はんかしいぞう」となっていました。仏教用語になると、「しゆい」という読みになるらしいです。広辞苑はちょくちょく間違っています。

 さて、今回は文化史の区分でいえば、飛鳥文化の仏像になります。為政者は「推古天皇聖徳太子蘇我馬子」の時代です。もっとも、聖徳太子に関しては、最近は実在が疑われていますが。厩戸皇子は実在していました。だいたいの時代が分かればいいです。

 ちょっと前に韓国から仏教がやってきて、それと同時にいろいろな文化が流入しました。その影響を受けて作られた仏像の一つです。他には「法隆寺釈迦三尊像」です。これは鞍作止利という人物によって作られます。彼の代表作はもう一つ、飛鳥大仏。他に有名なのは「法隆寺百済観音像」、そして、「中宮寺半跏思惟像」と「広隆寺半跏思惟像」です。こんかいの展示では、前者の半跏思惟像が見られます。

 

 ちなみに、中宮寺は江戸時代以降尼寺になったらしいです。聖徳太子か、そのお母さんである(間人皇后)の発願で建てられます。「天寿国繍帳」が有名です。

 並べたのは、実は昔は入試に問われやすいものでした。いまはどうなんでしょう。

 

 一方韓国の方は、六,七世紀に流行った形式です。韓国の三国時代だそうです。いただいている冠は日月冠というそうです。ササン朝ペルシアにその起源が求められる様式です。シルクロードを伝ってきました。インドのガンダーラ、中国の敦煌雲崗石窟龍門石窟などでも見られます。韓国にも双璧になる半跏思惟像が存在しますが、差はこの宝冠だそうですよ。

 

 

3,日本の方がいいですね。いや右的な意味じゃなくて。

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(wikipedhiaより)

 今回二つの思惟像を見て、個人的に好きだったのは日本の半跏思惟像でした。芸が細かいと思いました。おそらく、この仏様の作成者は実際にモデルに服をきさせて、このポーズを取らせたのではないか、とおもうくらい、服の文様が優雅でした。光背が羽扇のようにも見えます。この仏像自体は、出家前の釈迦をイメージしていますが、出家に向かう苦悩を感じさせない、優雅なほほえみを良いです。面持ちも日本人ですよね。

 頭頂にある、二つの結び目もなんとなく、飛鳥時代の日本人をイメージさせますよね。

 一方で韓国の半跏思惟像は、冠をいただいています。王族だということを表しているのかなと思います。韓国は弥勒信仰が強かった地域です。この半跏思惟像は別名弥勒菩薩といいます。今は美術品として見ているのですが、こういう優雅な仏像をみんなで拝みたくなる気持ちが分かります。アルカイックスマイルがすばらしいです。

 半跏という格好の仏像は作るのが難しいそうで、腕の形とか、足の形との調和を取るのが難しいのだそうです。韓国の半跏思惟像はアジアで見ても傑作だそうです。そして宝冠の形状が複雑で、面白いなと思います。

4,他の展示も隅々見るべし。

 国立博物館には、他にも美術史をたどるような展示物がたくさんあります。空いていればこちらの展示物も是非見て下さい。今だと、立像がたくさんあったり、日本刀の展示、鎧甲冑、着物など、多くの展示物があります。

 湛慶が作成した千手観音像があって、これもまたよいです。

 そして、伊東マンショの肖像が飾られています。伊東マンショといえば天正遣欧使節団の一員でした。その肖像はヤコボ・ティントレットが描いたのですが、その記録の裏付けになる発見なのだそうです。

 個人的には千手観音と刀のコレクションが見ていて楽しかったです。まあ美しいですよね。帰りに刀に関する新書を買ってしまいました。

5,実際見るということの効用。

 今の日本史入試で文化史が問われる頻度がどれくらいあるのかしりません。昔は学部によってはがっちり問われました。久しぶりにその当時の資料なんかも見ながら、この記事を書きました。見ながら「これ、昔は名前だけで憶えていたなあ」と思いました。

 やっぱり、こういうものは実際に見た方が良いと思うのです。できれば予備知識を入れてね。だから、お子さんにもお勧めの展示ですよ。七月一〇日までと、短い開催機関なので、隙を見て行って見て下さい。心が洗われます。

 

 

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