毎年、正月の一日になると、普段読まない新聞の読み比べをする。読売新聞、朝日新聞、毎日新聞、日本経済新聞を読むのが通例だったが、年々読む部分が少なくなり、読む新聞の種類も少なくなってしまった。それでも、これまで毎年続けている。
今年は、日経新聞と朝日新聞の紙の新聞を読み比べた。
面白かったのは、自分でも意外だったが朝日新聞だった。たいてい、朝日の元日の紙面では、絶望・不安などを描いて、人々の不安を煽る内容がくる。その年に解決すべき問題を描くという気概のある内容だ。特徴として、解決策は提示されず、ただ暗澹たる気分になって読み終わる。
今年の朝日新聞で扱われていたのは、地方創生の問題やインバウンドの問題が扱われていた。従来なら、困っている人の話が掲載され、「ああ困った、困った」で終わってしまうのだが、今年は成功の事例が載っていた。四国のあるところでは、企業の新しい誘致方法を行なった。光ファイバーの整備など企業が欲しがるインフラを整えた。企業ではたらくものは、はたらいたあとはサイーフィンをして遊ぶ。つまりは、労働・観光・生活、そういった体験が一体化した環境を整備した。それが支持されているということだ。
旧年末から新年に向けて、年賀状を書いていて、もうこの新年で終わりにしようと思った人も多かろうと思う。私もその一人だが、理由は料金でしょ? なんだが、相手に送っていて、申し訳なくなってしまう。年賀状を送るというのは、送った人間がそう思っていなくても、「返事くれよ」というメッセージに自然となってしまうからだ。
料金の高騰には全国一律の利用者の利便性よりも、特定郵便局の数を維持し、それを票田としてきた自民党との関係があり、朝日ではそこが描かれていく。とにかく料金をあげていくという、客商売とは思えない蛮行が行わている。その根本には「特定郵便局という票田の維持」が目的としてあった。そこでも、創意工夫をしていくことで、解決しようという提示がある。稼働していない郵便局の開局日を限定することで、複数の局を並行に運営していくのである。
ただ、その記事以上に興味を引いたのは、その下の記事であった。そこにはインバウンドで訪れる観光客がどこに宿泊しているのかが取り上げられていた。結局は都市部などに偏在しているらしい。東京と北海道と沖縄に宿泊する人が多い。一番少ないのが、意外に奈良であり、二番めに少ないのが千葉である。千葉県民としては忸怩たる思いだ。
千葉県に宿泊客が少ないのは、千葉県は成田から通過するところで、東京を起点に遊ぶからだろう。
奈良県も同じ状況なのだろう。大阪や京都に宿泊して、奈良に遊びに来る。記事では、解決策として高級ホテルを誘致したらしい。
そういうことなの?
と朝日新聞を読んで思った。
日経新聞は本来、朝日がやっているような希望を提示するのが元日の紙面であるが、なんだかモゴモゴした内容だった。いつのまにか入れ替わっているような感じだった。