いろいろぼやかして書く。
怒る人というのは共通項がある。
先日、マッサージに行った。
腰を痛めてしまったのだ。
といっても、ぎっくり腰ほどのダメージがあるわけではない。
カミさんに相談したらば、「マッサージに行ってこい」というので、近所にある整体院に行った。生まれて初めてのことだった。だいたい、シップを貼っておくと、一日か二日で治ってしまうのであるが、今回の痛みはしつこかった。
歳のころなら30半ばの男が担当だった。
施術をしながら聞いてきた。
「スポーツはお好きですか」
私はそれほど好きではないが、ジョギングくらいならすると告げた。
「ほう」
と言いながら、ジョギングをどのようにするか、と話をした。それによって、腰にする施術が変わるのだろうなと思った。
床屋さんとかこういうところで、雑談をするのを私はあまり好まない。
「スポーツ、見る方はどうですか、野球とか」
私はそれほど熱心にスポーツを見ない。それだったら、ほかの映画鑑賞とか、本を読んだり、ゲームをしたりする方が好きだ。
「いや、特定のチームを追っかけるほど好きではないね」
と言った。その瞬間から空気が変わった。
そうですか、と言いながら、そのマッサージ師は明らかに機嫌が悪くなった。
体勢を変えて施術をするときにタオルをかけるときに私の体にたたきつけるようにタオルをかけた。「オウ?」と思ったが、「気のせいだ」と言われたら終わりなので黙っておいた。そこから、施術が終わるまで、始終機嫌が悪く、ぞんざいに扱われたと感じた。
けっこうな金をとられたが、そんな状態で施術されても、なのか手を抜かれたのか腰の状態が治るわけもなかった。
この体験は前も食らったことがある。
以前通っていた床屋さんでのことだ。
(理髪店という言葉は自分の中のイメージとあわない。本当は「床屋」と書きたいのだが、確か放送では差別的な表現になっていたと思うので、床屋さんとする。お手数だが、床屋さんと書かれていたら、頭の中で「床屋」と変換して読んでほしい)
やはり床屋さんに「スポーツ好きですか」的なことを聞かれたことがあった。
その日は確かフィギュアかなにかの大きな試合があって、国民的な関心があったのだ。「今日見るんですか」と言われて、「なにを?」と返した。そこから床屋さんの機嫌が一気に悪くなった。
そこでは無口になっただけで、手を抜いたと思ってはいない。
スポーツ好きにはままあることだが、マッサージ屋ではそのことを失念していたのだ。適当にあわせるか、好きに話させればよかったのである。
「野球は好きですか」
「というと?」
とか促して。
私がすっぱりと断ち切ったのが悪かったのである。
ただ、スポーツ好きとアニメ好きは、「自分はそれほど好きではない」と言うと、過剰に機嫌が悪くなるところがある。それは人の好き好きなのであるが、スポーツ好きは「野暮な奴」とみなす。アニメ好きは己を否定されたとすら感じる。
そのくせ、つっこんで話を聞くと、見方がおそろしく浅かったりする。
アニメ好きとスポーツ好きの、「好きですか」には注意されたい。
PS:書くのを忘れた。
帰ってきたのち、あまりのストレスから、一つの行動をとるようになった。それは「野獣死すべし」の松田優作のマネである。松田優作の役はベトナム戦争のときに外国人傭兵部隊にいた人物である。終盤、洞窟の中でその時の体験を演劇調に身振り手振りを交えて語るシーンがある。そのときに、不意に「アッ!」と奇声を挙げる。
それがマッサージから帰ってきてから出るのである。
「トイレでも行くか」と立ち上がって、トイレに移動する最中に、「アッ!」。
風呂でも入るか、と湯船につかりながら「アッ!」。
ところが、これをやると、実にストレスが軽減するのである。もともとあの「アッ!」がなにを意味しているのかは分からないが、案外ストレスが軽減するのではないだろうか。