今日の十分日記

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原点回帰の雑記ブログ。十分で書ける内容をお届けします。十分以上書くときもあるけどね。十分以下もあるし。

ゴッドファーザー・シリーズーー十分日記

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あんまり更新がはかどっていません。

理由はあって、「武士の家計簿」の映画と新書の比較をしようと思い立ったのはいいのですが、面倒になってしまって、そこから先に進まないのです。 新書はすでに読み終わっているのですがね。

こういうときは懸案のものを強引に進めるか、無視するか、ですよね。ここは無視して進めたいと思います。

 

BSプレミアムゴッドファーザーシリーズを一挙放送していました。

ゴッドファーザーといえば、昔、フジテレビの「ゴールデン洋画劇場」でしょっちゅうやっていましたね。土曜日の九時でした。もう、プロジェクトA、ポリスストーリー、ゴッドファーザーニューシネマパラダイス、バックトゥザフューチャーのヘビーローテーションが行われていました。個人的には好きな映画のラインナップなので苦痛ではないです。

しかし、ゴッドファーザーは子どもの頃は見れませんでした。どう考えても、子どもには怖い世界ですからね。その後もしっかり見たという記憶はないです。「ベッドに馬の首事件」くらいは知っていますし、見たことがあるのですが、それが何を意味しているのかは忘れていました。

さて、ここから感想をメモしていくのですが、もしかすると、いやもしかしなくてもありきたりな感想なのかもしれません。その点、お含み置きを。

1,ゴッドファーザーはイタリアを描いている。

主人公はマイケル・コルレオーネ(アル・パチーノ)で、コルレオーネファミリーの三男です。といっても、一作目はその父親のビトー・コルレオーネ役のマーロン・ブランドがすべてを持って行く、怪演ぶりを発揮します。落ち目だったマーロン・ブランドはこの老け役で返り咲きます。

冒頭は有名なシーンで、ビトーの娘、コニーの結婚式から始まります。本当に楽しそうなパーティなのですが、その裏でファミリーが暗躍します。様々な依頼ごとがビトーの下に持ち込まれるのです。しかし、ファミリーやドンであるビトーを尊敬しない人間の依頼は受け入れません。こういうマフィアは金次第というイメージがありますが、そうではないということが描かれます。

 

ビトーはイタリアのコルレオーネ村からニューヨークにやってきた移民です。といっても、ただの移民ではなく、追われて仕方なくやってきた少年です。父親がコルレオーネ村のマフィアに殺されます。そして、兄や母親も殺されて、自分は命からがら逃げてきたのです。

 

ここで示されているのが、イタリア自体がマフィアを中心に回っているということです。ビトーは度胸のある青年です。ニューヨークのイタリア移民の間で頭角を現していきます。マフィアのドンを殺すのです。それもこのイタリア移民の街がマフィアを中心に回っているからです。

この時期のビトーを二作目で演じたのがロバート・デニーロでした。マーロン・ブランドの演じた老年期に寄せて、しゃがれ声で話す若い頃のビトーが印象的です。

ロバート・デニーロはこの演技でアカデミー助演男優賞を獲得します。

 

三男のマイケルは、一作目で父ビトーが麻薬取引を拒否したために銃撃されたことをきっかけに頭角をあらわします。もともとビトーはマイケルをマフィアにはしたくなかったのです。単身、敵マフィアのドンとそれとつるんでいた警察官を殺します。

そして、イタリアに逃亡します。

イタリアで美しい娘と出会い結婚。ですが、すぐに直属の部下に裏切られて娘は爆殺されます。

こうして、マイケルは疑心暗鬼の強い性格になっていきます。

長兄のソニーはその短気な性格をつかれて、殺されます。本来は彼がドンになるべきだったのでしょう。

イタリアに帰り、父親が融和を願った五大マフィアを抹殺します。

次代のマイケルがドンになると、様相が変わります。

 

2,食事

ゴッドファーザーはグルメ映画か! と言いたくなってしまうほど、食事のシーンが多いです。

同じ、コッポラが監督した「地獄の黙示録」のはじめの方のシーンでも、食事をします。おもしろいのが、主人公のウィラードが作戦本部に呼ばれ、命令を受けるシーンで、呼び出してすぐに「食事をしながら話そう」と言われるのです。若い頃からあのシーンがおもしろいと思っていました。普通、命令をするのに、食事をしながらはないですよね。正式の命令を伝達するときですよ? おもしろいですよね。日本軍ならば、しかつめらしい上司のデスクのまえで拝領しておわりでしょう。

見ていて、おいしそうなのと同時に、やはり監督のコッポラの属するイタリア文化における、食事の位置づけが重いということでしょう。

3,家族の絆

長男のソニージェームズ・カーン)はその短気のせいで死んでしまうのですが、それは妹の愛故でした。妹は婿であるカルロから暴力を受けています。それを一度報復します。街中でボコボコにするのです。

その報復が発端で、カルロはソニーを敵方に売ります。わざとコニーに暴力を振るいます。

 

この話、ファミリーも一つのテーマです。

いわゆる日本語の「家族」とはニュアンスが違います。

ドンの保護下にあるものがファミリーです。

 

これも初代のビトーと次代のマイケルではファミリーの意味が変わります。ビトーは保護すべき存在、マイケルの代では圧倒的に君臨する存在になります。

次兄のフレドはマイケルの逆鱗に触れ、殺されます。

ビトーだったら、許したか、命だけは取らない気がします。

 

ファミリーの意味も、本当に苦しかった第一世代のイタリア移民と、次代では変化していることがわかります。

 

4,宗教

宗教の位置づけもイタリア文化において重いのがわかります。

最終作では、マイケルは「金」と「地位」を手にしています。最後、「名誉」を欲します。バチカンの投資会社を買収しようとします。この会社は、バチカン、つまり教皇と深い結びつきがある会社でした。周囲のものはマフィアのドンであるマイケルを拒否しようとします。マイケルはあらゆる手を尽くして会社に取り入り、「名誉」を手に入れようとします。

ところが、最後、娘を殺され、発狂するところで物語は終わります。最後は廃人になって、田舎で寂しく死ぬのです。 

 

5,戦争、抗争の意味

ある日YouTubeを見ていたら、「正義の戦争は存在するのか」という動画がありました。爆笑問題の太田とほかの評論家が論争をしているものです。

当然、自衛の目的の戦争は正義である、と評論家は言います。たいてい、自衛の戦争のときに「それは正義だ」と評論家は言いたがります。しかし、自衛の戦争のときには、正義もクソもないというのが正解です。やってきたら、やるしかないのです。正義だの不正義だの、やりたいだのやりたくないだの、そんな個人の意思は消し飛びます。今回のコロナ禍でもそうでしたね。あれだけ、個人主義(だと日本人がすりこまれてきた)の外国で、外出禁止の命令が出たことも象徴的です。普段の個人の意思など、吹き飛ぶのです。もっとも、すぐに耐えきれなくなりましたが。

ゴッドファーザーではもちろん抗争が起きます。しかし、どうして抗争が起きるのか、と言えば、それは「邪魔だから」です。決して、「正義だから」ではありません。特に二代目のマイケルになってからは、その様相が強くなります。

マイケルの個人的な事情もあります。それ実は冒頭の結婚式のシーンで描かれています。マイケル自身はファミリーのビジネスと関係ない位置にいて、その頃の恋人であるケイにも伝えます。そして関わるつもりも無いということも伝えます。結局はその達成を焦ったということもあります。

五大ファミリーのボスの暗殺や、血の粛清もその焦りととれなくもないです。もちろん、薬が入ってきたり、ビトーが若い頃のアメリカ社会よりも、すさみ、凶暴化していて、そのくらいやらなければ対抗できなかったというのもあるとおもいます。

ケイは結局渦のなかに巻き込まれていくマイケルを見捨てます。

みな自分勝手な論理で動き、邪魔者を排除しようとするから抗争や戦争が起こるのです。正義だからでは決してありません。

それに、異文化をルーツに持つ人同士が衝突したときはどうすればいいのか、正義の戦争があるという人間に聞いてみたい。だって、相手だって、自分だって、「正義」を標榜した場合、どちらが正しいことになるのか。それに、相手が正義だといえば、敗北を受け入れるのか。聞いてみたいですよね。

 

4,差別の国・アメリ

この頃の「#Black lives matter」を見ていても感じるけれども、どうにもアメリカには差別の原理が基本的に組込まれている気がします。イタリア移民だって、大量にやってきたときは結構ずさんに扱われます。白人同士だってそうなのかもしれません。

これはもちろん、黒人や、忘れてはいけないのは黄色人種に対する差別意識が根底にあるのかもしれませんが、「過当競争社会」であることの裏返しなのかもしれません。しかも、ここのところは、金持ちになれる人間が硬直状態になっている、それが複雑にしているのかもしれません。 

 

5,感想

誰か、小説家だったと思いますが、「ゴッドファーザーには人生の全てが描かれている」と言っていたと記憶しています。村上龍だったかな。

確かに、マイケル・コルレオーネという人物の一生や、クロスオーバーする父親ビトーの一生を通じて、我々は人間のライフサイクルを見せられているような気がします。

若い頃には勝負をしてチャンスを掴み、中年期にはだんだん世の中の流れに流されるようになる。年齢が高くなると、家族と名誉が大切になる。そして、結局は人生はうまくいかない。

そんな人間の一生が描かれている映画だと思いました。

女性でもやはり同じようなライフサイクルになるんでしょうか。女性の社会進出が進むと、従来の「細腕繁盛記」ではない、「おんなの一生」が新たに描かれるようになってきます。それを一番最初にやるのは我々の世代の女性なのかもしれませんね。

そんなことを考えました。

 

 

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